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この症状 ひょっとして病気?

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(番外編)このページの記事は、ロハス・メディカルブログ2009年5月18日付掲載の『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-③症状が全身に現れるなら その2』(筆者・堀米香奈子専任編集委員)です。久住英二医師の監修は受けておりません。
皮膚のかゆみ 発疹がある場合-③症状が全身に現れるなら その2
 乾燥した脚や胴体、腕に丘疹。かゆみが夕方~夜に強くなる「皮脂欠乏性皮膚炎(湿疹)」、主に頭皮や顔、その他の部分の皮膚の表面が赤くかさつき、頭皮だとフケのように剥がれ落ちる「脂漏性皮膚炎(湿疹)」、鳥肌のような硬い丘疹、その部分の皮膚がザラザラになる「アトピー性皮膚炎(湿疹)」についてみていきたいと思います。

【皮脂欠乏性皮膚炎(湿疹)】 乾燥性皮膚炎(湿疹)とも言います。
《症状》
 背中、お腹、あるいはすね(下腿)がかさかさになり、細かなぬかのようなフケのようなものが出ることも。皮膚の表面は皺がよっていたり、ひどいと細かな裂け目(亀裂)も見られます。とくに乾燥する冬、子どもと高齢者に多く見られます。軽度ではかゆみだけで湿疹はない(保湿クリームで十分収まる)のですが、重症化すると表面に細かいひび割れを生じ、湿疹が出てくることもあります。

《原因》
 正常な皮膚の表面は、汗と皮脂が適度に交じった皮脂膜という膜により守られています。皮脂膜は皮膚が水分を保持するのを助け、しっとりとした肌を作ります。しかし特にに冬になると、低温により皮脂と汗の分泌は減り、乾燥しているので皮膚の水分はどんどん失われます。さらに暖房も乾燥のもとです。(汗腺の発達していない子どもと、新陳代謝の低下した高齢者に患者が多いのはこのためです。)

 皮膚表面の水分がなくなると、一番表にある細胞はフケのような状態になり、かさかさとなり、皮膚と接している気温のちょっとした変化でも皮膚表面 の神経が刺激されます。これがかゆみです。これを放置していると赤みが出て、そこを頻繁に掻いていると湿疹も出てきます。

《対処法》
 掻かないことが大事です。自分でできるのは、とにかく乾燥を防ぐこと。そのためにお風呂ではあまり体をごしごしこすらないようにします。皮脂を洗い流しすぎるのはNGなので、石鹸を使うのも週に1~2回でもかまいません。石鹸やシャンプーはすすぎ残しの内容に。保湿入浴剤の使用もいいでしょう。入浴後は必ず保湿クリームを。冬は加湿に気をつけ、化繊の肌着などは肌を刺激するので避けます。電気毛布も付けっぱなしはよくありません。

 治療の柱は保湿剤(塗り薬)となりますが、湿疹にはステロイド剤の塗り薬を使い、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤か抗アレルギー剤の飲み薬も処方されます。

《参考サイト》
皮脂欠乏性湿疹(平松皮膚科医院)
症状の解説、写真から、患者データや再発防止策まで。

皮脂欠乏性湿疹 (センター南の木村泌尿器科皮膚科)
症状の出るしくみが図解入りでわかりやすいです。

【脂漏性皮膚炎(湿疹)】
《症状》
 頭皮や髪の生え際にできた場合、ちくちくしたかゆみから始まり、ほうっておくと地肌に赤みと湿疹が出てじくじくし、乾いてかさぶたのようになります。これが剥がれることで、フケが多くなる症状となります。また、それ以外では鼻のわき、眉間、耳の周り、わきの下、胸、背中などの皮脂の分泌が過剰な場所で、皮膚がかゆく、赤くなったり、湿疹や、そこが乾いてポロポロとむけたりします。(後述のアトピー性皮膚炎とも間違われやすいのですが、一番の違いが、皮膚がむけてしまうところです。)

※生後3カ月以内の乳児の顔面に多量のうろこ状の湿疹ができることがあり、これも脂漏性湿疹と呼ばれますが、これは一過性で放っておいて自然によくなることも多いのですが、一部ではアトピー性皮膚炎に移行するものもあるようです。

《原因》
 原因は誰の肌の上にもある皮脂とカビです。皮膚には皮脂腺があり、皮脂が分泌されていますし、害のないカビ(真菌)も常在しています。しかし皮脂やカビが様々な要因で異常に増えると、皮脂がカビによって脂肪酸に分解され、それが皮膚を刺激して炎症が起こるものです。菱が分泌過剰となったり、炎症が起きてしまう要因としては、スキンケア不足(入浴・洗顔・洗髪不足)、睡眠不足、ストレス、ビタミンB不足、ホルモンバランスの乱れなどがあります。

《対処法》
 日常使用するシャンプー、リンス、整髪料、石鹸などが刺激となって症状が悪化しますので、患部は避けるよう注意します。一方、抗真菌薬のシャンプーが奏功する場合もあるようです。睡眠や食生活も重要。アルコール類や油分などは控えめに、ビタミンBを含む食材(強化米、焼きのり、牛レバー、鶏レバー、干ししいたけ、脱脂乳、干しわかめ、うずらの卵、魚肉ソーセージ、小麦胚芽など)をよく摂るようにします。

 治療は、ステロイドの塗り薬と、抗真菌薬(塗り薬)を併用します。その他、かゆみ止めとして抗アレルギー剤、またビタミン剤(B2、B6など)の内服を行うこともあります。脂漏性皮膚炎は難治性といわれ、見た目にいったん症状が治まっても繰り返すことが多く、根気よく症状をコントロールしていくことが必要です。

《参考サイト》
脂漏性湿疹 (岩元クリニック)
日常生活の注意点、治療について詳しく載っています。

脂漏性湿疹 (ヤンセンファーマ)
原因についての解説がわかりやすいです。部位ごとの写真も。

脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹) (しんじょう薬局)
薬局の説明だけあって、治療と予防について詳しいです。

【アトピー性皮膚炎(湿疹)】
《症状》
 一番の特徴はかゆみです。さらに湿疹が体の各部にだいたい左右対称に出ます。額、目・口のまわり、耳、首、手足の関節部分に症状が出やすいようです。症状が出た皮膚はカサカサ、ゴワゴワ、ジュクジュクし、赤くなったり、盛り上がったりし、つまむと硬い湿疹であることが特徴です。

 典型的な発症は、生後2~3カ月から2歳、皮膚がかさかさに乾燥したり赤くなったり、いきなり小さなブツブツした湿疹が出て始まるもの。頭や顔から始まり、胴体や手足に広がっていきます。よだれがついたり食べこぼしが多い口のまわりにジクジクした湿疹が出やすいようです。

 小学生くらいになると、乾燥している部位に湿疹が増えます。ひざやひざの裏側など、衣服等の接触による刺激を受けやすいところが顕著。手首や手足などの皮膚が厚くなってしゴワゴワとしわが目立つ症状が出たり、耳ギレといって、耳たぶのつけ根にヒビが入る症状が出ます。汗をかいた後、急にかゆくなることも。

 まれに、大人になってから急に発症する場合もあります。ひじやひざなどに加え、顔や首など上半身に強いかゆみと湿疹が目立つようになり、赤ら顔に悩んだり、白内障や網膜剥離など目に合併症が出たりと、重症化することも。

《原因》
 大別すると、①皮膚のバリア機能障害、②アトピー素因、③悪化因子の3つ。皮膚が乾燥して水分を保ちにくいとバリア機能が低下して刺激に過敏になり、かゆみが出ます。また、アトピー素因とは、アレルギー体質とも言い換えられます。外から有害な異物が侵入したときに身体を守る免疫システムが異常に働き、身の回りのものに反応して炎症を起こすことがあるのです。悪化因子には、そうしたアレルギーを引き起こすもの(=アレルゲン。ダニや花粉、カビ、ペットのあか、虫のふんや住宅建材の処理剤など)以外にも、髪の毛や毛糸のセーター、シャンプーや石鹸、香水などの化粧品類、汗、よだれや食べこぼしのほか、精神的なストレスや生活リズムの乱れなどもあります。

 どれが先、というものでなく、アレルギー反応でかゆみが生じることもあれば、汗や乾燥などが刺激となって引き起こされることも。また掻くことで皮膚が傷つけられ、バリア機能が阻害されるのも、悪循環を引き起こします(アレルゲンも入りやすくなります)。

 大人になってからのアトピーは体質的な問題以上に、生活の上での外的な悪化因子によって引き起こされるケースが大半をしめるようです。肉体的な疲労、ストレスの蓄積、喫煙、睡眠時間の減少などが代表的な原因として挙げられます。

《対処法》
 標準治療では、ステロイド軟膏を中心とした薬物療法のほか、スキンケアと医師の指導に基づき原因・悪化因子の除去を行います。ちなみにステロイド剤については誤解も多いようですが、皮膚の症状そのものの重症度にあった種類の軟膏を、多すぎず少なすぎず、適量塗り、薬の切り替えとやめるタイミングが適切であれば、効果が高い薬です。その他、免疫調整薬のタクロリムス軟膏(商品名:プロトピック軟膏)の使用も広がっていますが、どんな薬にも効果とともに副作用がありますので、ただし、必ず専門医の指導に従ってください。生活習慣の改善を心がけながら、根気よく正しい治療を続けることが大事です。

《参考サイト》
「大人も気になるアトピー性皮膚炎」(ロハス・メディカル2007年3月号)
専門医監修のもと、原因から症状、治療まで、やさしく詳しく載っています。

アトピー性皮膚炎に関する情報(九州大学医学部皮膚科学教室)
治療ガイドラインからステロイドについての考え方まで、図解やイラスト入りで解説。「かゆみをやっつけよう!」では、かゆみについての解説が詳しいです。

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