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アンドロイドが高齢者のコミュニケーションを促進―ATR石黒浩特別研究所、住岡英信氏

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高齢者がアンドロイドと過ごすことで「普段介護士には言ってくれないことを言ってくれたりする。実際の人間だと身構えてしまったり、言いづらいと思ったりすることがあるが、親しみを覚えて話しやすくなったりする」――。高齢者医療・介護に関わるメンバーが多かった公開講座の中で、異彩を放っていたのが大阪大学基礎工学研究科の住岡英信氏(国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所存在感メディア研究グループグループリーダー)と、住岡氏が紹介したアンドロイドの「テレノイド」。講座終了後にはテレノイドを間近で見ようと参加者の人だかりができるほどの人気ぶりだった。

ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵

公開講座の別記事はこちら
生存期間延ばすのでなく、生活の質の追求を-下河原忠道氏が阪大で講演
高齢者は病気より衰弱の予防、栄養ケアを-医療法人悠翔会理事長・佐々木淳氏①
医者を選ぶより、友達を作ろう-医療法人悠翔会理事長・佐々木淳氏②


講座は「超高齢社会を生き抜くためのヒント~希望ある終末期のために」がテーマで、登壇者は下河原忠道氏や佐々木淳氏など医療介護業界では名の知れた人たち。そこに登場したのが住岡英信氏(写真、左から2番目)とテレノイド(写真、左)。パネルディスカッションの開始時からテレノイドも登場し、会場の注目を集めていた。

登壇者.jpg

住岡氏の勤める研究所のリーダー、石黒浩教授はアンドロイドでギネス世界記録に認定されたり、CNNの「世界を変える8人の天才」に選ばれたりするなど、アンドロイド研究の世界的権威として有名だ。

住岡氏は、「我々の研究室では人らしいロボットをどう実現するか、それを研究することによって人とは何か、ということを考えている」と自己紹介。

現在のロボット研究の発展により、「その人本人の存在感をロボットに持たせることが可能になってきている」と述べ、特定の人物の表情や動作、話し方などをそのまま再現する遠隔操作型ロボット「ジェミノイド」の研究を紹介した。さらに「誰にでもなり切れるようなロボットができないかということ作ったのがこのテレノイド」と述べた。

「(ジェミノイドのように)完全にそのまま人、というふうにすると想像する余地がないが、これぐらいのテレノイドにしてしまうと我々人間は抜けている部分を想像する」と解説。電話で面識のないオペレーターと会話する時の状況を例示し、「この人すごく優しい人なんじゃないかな、とか、僕たちは無意識で想像してしまう。嫌いな人はイメージしない」と、一般的に人はコミュニケーション時に欠けている相手の情報について無意識に好ましいイメージを想起しやすいと解説した。そのためにテレノイドは「人としての最小限の外見」を備え、他の部分は本人の想像に任せて「親しみを上げている」と説明した。


テレノイド.jpgテレノイドとは・・・(住岡氏のスライドより)
・人としての最小限の外見
・コミュニケーションに最低限必要な動作
・声や動作から相手を想像
 ・想像させることで誰にでもなれる
 ・想像することで好印象になる


介護施設でテレノイドを試験的に導入すると、「普段介護士に言ってくれないことを言ってくれたりする。知っていても実際の人間だと身構えてしまったり言いづらいと思ったりすることがあるが、人には言いづらいことを、先ほど話したように親しみを覚えて話しやすくなり、話してくれたりする」と語った。実際にテレノイドを販売やレンタルする業者もあるという。

「人は話をすること、触れ合うことが非常に好きなんだということが見えてくる。ハグすることと話をすることだけで何かできないか」と、人型のビーズクッション「ハグビー」を開発したと話した。ハグビーを抱いて携帯電話で話すと「非常にリラックスして落ち着いて話すことができる。普通に携帯電話で話をするのと比べて、コルチゾールというストレスに関係するホルモンが下がった」と自身の研究結果を示した。

「こういう研究を通して感じているのは、人と人のつながりは非常に大事。生かされるではなく、生きるといった時に、人との触れ合いがほしい、話し相手がほしいとなったらこういうロボットを使うという選択肢もあると思う。人に役立つために技術は作られている」と語った。
 
 
 
 
 
◆関連するロハス・メディカルの過去記事
それって本当? 笑わない人ほど不健康(2016年2月号)
それって本当? 前向きな気持ちが認知症リスクを下げる(2015年9月号)


◆「高齢者と社会とのつながり」については書籍「地域包括ケアの課題と未来」の中で「社会的包摂」(小野沢滋氏、渡邉姿保子氏、著)「貧困と健康」(近藤克則氏、小松俊平氏、香田道丸氏、著)などの項にも詳しくありますので、ぜひご覧ください。
 

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