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ウイルス感染症 基礎のおさらい

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

51-1-1.JPGこの秋、特に若年層を中心に新型インフルエンザが流行しました。今後も何波か流行があると思われます。
ウイルス感染症の基礎知識をもう一度おさらいして、被害を軽くしましょう。
監修/森澤雄司 自治医科大学病院感染制御部長

感染とは

 感染とは、生体に他の微生物が侵入・定着する状態をいいます。侵入される側を宿主と言います。侵入する側の微生物には、大まかな大きさ順に、寄生虫、真菌、細菌、ウイルスなどの種類があります。これらの微生物によってひき起こされる病気が感染症です。
 微生物のうち最も小さく、新型インフルエンザなどの原因でもあるウイルスは、一言で表現するならば「さまよう遺伝子」。自らが生きるのに必要なエネルギー製造ラインを持っておらず、宿主の中でのみ増殖が可能です。
 遺伝子とは、アミノ酸の並び方を指示してタンパクを作らせる設計図のようなものです。条件さえ整えば自分自身のコピーを作ることもできます。
 ウイルスは、宿主の細胞に入り込んで、その細胞内の仕組みや材料を利用して自分のコピーを作らせます。立場をひっくり返して宿主側からすると、自分の細胞のタンパク製造工場を乗っ取られて、ウイルスの増殖に必要な(自分には必要ない)タンパクを作らされるということになります。正直、気持ちのよい話ではないですね。
 ウイルスに感染されると、主に以下2つの理由で病気になります。
(1)ウイルスによって本来は不要なタンパクを作らされる細胞が、急速に機能を失ったり死んだりする。
 これによって組織が障害されます。中には最近ワクチンの承認されたヒトパピローマウイルスのように、感染した細胞をやがてがん細胞へと変えるというトンデモないものもあります。
(2)免疫が発動し、そのとばっちりで組織が障害される。
 大きく影響するのが炎症です。患部を遮断し、侵入者がいれば攻撃して殺し、死んだ組織や損傷を受けた組織を取り除いて修復を始めるというものです。江戸時代の町火消しをイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
 流れをもう少し専門的に説明すると、ウイルスによって障害を受けた組織から、サイトカイン(免疫システムへの情報伝達物質のこと。09年10月号「がんと免疫」特集参照)が分泌され、患部への血液供給量が増えます。さらに血管壁に穴が増えて、体液や白血球が患部に届きやすくなります。これにより、患部付近の体表面が赤くなり熱をもってくると同時に腫れてきます。
 炎症中は、神経を刺激する多くのサイトカインが分泌され、痛みや悪寒、発熱、筋肉痛などの不快な症状が起きます。ちなみに発熱は、免疫の防御機構を増強しますし、発熱のために筋肉が使われたりしますので、これらの症状は炎症の原因であると同時に結果でもあります。ウイルスを撃退するか均衡状態に達してサイトカインが出なくなるまで、体力の続く限り炎症は持続します。
 炎症の結果としてウイルスを撃退できればよいのですが、まれに何らかの原因でサイトカインの分泌が過剰になって、生命維持に必要な機能まで壊してしまう「サイトカインストーム」という現象の起きることがあります。最後の項でもう一度述べます。

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