全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。

インフル予防には、うがいよりも緑茶と歯磨き!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今年のインフルエンザは、B型の流行が例年より早く、A型とB型が同時に来たようです。流行も本格化してきたので、改めてインフル予防についてまとめておきたいと思います。ポイントは緑茶と歯磨き!

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

何を隠そう我が家でも下の子が年末にA型を発症。しかし、都内の別の地域に住む私の友人の子は、同時期にB型だったそうです。東京都が発表している患者数の動向を見ても、昨年12月の時点でB型がA型を追い抜いています。

予防接種は打ったのに、かかってしまった次男(以前もありました。こちら)。今回は完全隔離で家族はセーフでしたが、これからもまだまだ油断できません。小学校でも学級閉鎖のクラスが出てきていますし、B型にかかる可能性もあります。厚労省「平成29年度インフルエンザQ&A」の予防についての項目を確認しました。

意外に思われるかもしれないのが、「うがい」の文字は1文字も出てこないこと。実際、平成21年度に内閣官房から出されている「個人、家庭及び地域における新型インフルエンザ対策ガイドライン」では、「手洗い・うがい」の励行がしっかり盛り込まれていましたが・・・。

実は、同じ平成21年12月号のロハス・メディカル「ウイルス感染症 新型インフルエンザ 基礎のおさらいもう一度」特集では既に、

うがいに関しては、予防効果があるかハッキリしておらず、既にやっている人は続ければよいし、わざわざ始めるくらいなら不要です。

と断言しています。

インフルエンザウイルスの一番の侵入経路は、喉の粘膜です。喉の乾燥を防ぎ、粘膜上から異物を排除する繊毛の働きを高める、という点で、うがいは良いはずなのですが、「効果あり」との立証まではできなかった、ということでしょう。インフルエンザウイルスが喉の粘膜についてしまったら、数分~最長でも20分以内に洗い流さないと、体内に侵入してしまいます。しかし、外出中や仕事中などに、分おきにうがいをする、というのは現実的ではないですよね。そう考えると、「洗い流す」より、そもそもウイルスを喉や鼻の粘膜に「付けない」よう心がけるべき、ということになるのでしょう。

なお、2006年には>静岡県立大学の研究グループが高齢者を対象とした実験を行い、「水より緑茶でうがいをした方がインフルエンザ感染予防効果が高い」との成果を発表していますが、同じ研究者が2014年に行った高校生を対象とした実験では、「1日3回の緑茶うがいは、水で行うより有効という有意な結果は得られなかった」としています。これも、1日3回程度のうがいでは、お茶でも水でも回数的に足りない、ということではないでしょうか。

それでも、実は緑茶はお勧めです。緑茶を積極的に毎日飲むことがインフルエンザの予防に有効である可能性が示唆されています。緑茶の苦み成分であるカテキンの効果です。そもそも、喉の粘膜を潤し、ウイルスを侵入前に洗い流す目的なら、うがいの後に吐き出さずに飲み込んでも良いはず。胃に入ってしまえば、インフルエンザウイルスは胃酸で退治できます。通常のうがいと違って、お茶のペットボトルを持ち歩いてちょっとずつ頻繁に飲む、というくらいなら、さほど場所を選ばずに実践できます。ですから、頻繁に緑茶を飲むことは、インフル予防にとって一石二鳥と言えそうです。

さらに、ロハス・メディカル最新号(こちらで手に入ります。在庫切れだったらごめんなさい)「口から人生を豊かに」特集の「寿命が縮むかも 歯周病を防ごう」の記事でも、「へェ」な予防法をご紹介しています。それは歯磨きです。

口腔内の細菌が出す酵素は、ウイルスの体内への侵入を助けてしまうことが分かっています。東北大学の研究では、通所介護施設で週1回、専門的口腔ケアを実施すると、気道感染症が約3分の1に、インフルも著しく減少した、とのこと。口の中をできるだけ清潔に保つことが、インフルエンザ感染を防ぐのです。

これらに加え、外出時にはやはりマスク着用がよさそうです。インフルエンザは飛沫感染と接触感染。インフルウイルスはマスクの隙間や繊維の目を潜り抜けてしまうほど小さいはずですが、咳やくしゃみで飛んでくるツバキが自分の顔に直接かかることは防げます。実感として、特に子供にはマスクは有効ですね。ウイルスの侵入経路は口と鼻だけですが、子供は外出しても色々なところを触り、その手で不用意に顔を触ってしまうことが多いためです。手にはウイルスが付いていることでしょうが、マスクをさせていれば、口と鼻を触らずに済みます。

実際、マスク着用と手洗いをセットで心がけることで、インフル感染の予防効果立証されています。

ちなみに、使った後のマスクをやたらと触っていたら、確実に手にウイルスが付きそうですよね。帰宅後はマスクを外して適切に処分してから、色々なところを触る前に手を洗いましょう!

  • 患者と医療従事者の自律をサポートする医療と健康の院内情報誌 ロハス・メディカル
月別アーカイブ
サイト内検索