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あなたは何を捨てますか?

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 最近、家の片付けをしました。いろんなものが増えて、生活する場所がなくなってきたからです。そしたら、最近「断・捨・離」という言葉がはやっていることに気づきました。

(2011年5月、【山大GCOEコホート通信】vol.11 コラムとして配信)

成松宏人 山形大学グローバルCOEプログラム 先端分子疫学研究所 准教授

 Wikipediaによると、「断・捨・離」
『ヨガの「断業」、「捨行」、「離行」という考え方を応用して、人生や日常生活に不要なモノを断つ、また捨てることで、モノへの執着から解放され、身軽で快適な人生を手に入れようという考え。
断=入ってくる要らない物を断つ
捨=家にずっとある要らない物を捨てる
離=物への執着から離れる』
ということだそうです。

 例えば、着ようと思えば着れる服。でも、たとえば、デザインが流行遅れになったなどで、何年も着ていない服があったとします。私は、なかなか捨てられません。これを捨てるのは「心が痛む」からです。

「何年かして、また流行が変わって着たくなるようになるかも......」

「部屋着ぐらいだったら、着られるから一応とっておくか......」

といった、理由で捨てるのを躊躇します。捨てると「心が痛む」という目の前にある一時の感情を優先して、問題を先送りし、目を逸らすという選択をしてしまいます。短期的には心の安定が得られていいのですが、でも長期的に見たら、明らかに非合理です。冷静に考えてみれば、また流行が巡ってくる機会や、部屋着として着る機会はほとんどありません。一方で、捨てなければ、極端な話、部屋がどんどん狭くなっていって生活ができなくなるという、一時的に「心が痛む」よりもはるかにひどい結果に陥ります。

 うーん。「断・捨・離」は大事です。これからは、『「断・捨・離」と唱えて、身軽で快適な人生を手に入れるんだ』って思いました。

 さて、最近「断・捨・離」が盛んにいわれているのは、日本の住宅事情の変化が深く関係しているのではと私は思います。つい最近までは「住宅すごろく」、つまり、社会人になってアパートでの独り暮らしからスタートして、結婚や出産を契機に都心での分譲マンション暮らし、そして家族数の増加や子供の教育環境を考えて郊外の庭付き一戸建てでゴール!といった住環境をステップアップさせるケース(特に都市部では)が皆の目標でした。これだと、どんどん家が大きくなっていくので、ものをため込んでおいてもそれほど困りません。「断・捨・離」しなくても大丈夫です。しかし、この「住宅すごろく」は、年功序列で年齢が上がっていけば行くほど収入が上がっていったり、放っておけばどんどん地価が上がりつづけるといった「昭和的社会システム」がうまく働くことが大前提になります。

 しかし、今の時代、5年後、10年後収入が上がっている保証はどこにもありません。いまの仕事も保証されているかどうかも分かりません。当然、将来、今より広い家に住めるという保証もありません。一生賃貸アパートやマンションの人も増えるでしょう。そんな時代でも、身の丈にあった楽しい生活を送りましょうというのが「断・捨・離」なんだと思います。

 私は、「断・捨・離」が、これからの日本にとって非常に大事じゃないかと思います。日本という国は、戦後の焼け野原に建てた「掘っ立て小屋」から始まって、高度経済成長期、バブル経済を経て、どんどん経済という家が大きくなってくるという「住宅すごろく」を地でいっていました。だから、何かを捨てるような選択は先送りすれば、家が大きくなるので、「結局捨てなくてもいいじゃん」で済んだんだと思います。しかし、「失われた20年」で家はほとんど大きくなりませんでした。さらに今回の震災で日本の社会の富が大きく傷ついてしまい、私たちは初めて狭い家に引っ越さないといけなくなりました。手厚い福祉、手厚い医療、手厚い年金、(一部の人にとっては)安い税金などなど、今まで捨てずに済んだものの何かを捨てる選択をしないといけなくなりました。もし、全部引っ越し先に持って行けば、これらに押しつぶされて生活できなくなるでしょう(具体的には財政破綻でしょう)。さあ、何を「断・捨・離」しなければいけないでしょうか。

 これからは「断・捨・離」の時代が来る。家の片付けをしながらこんなことを考えた春の一日でした。

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