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医療政策が国民に分かりづらい理由を考えてみた②

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一昨日「医療政策が国民に分かりづらい理由を考えてみた」という記事を書いたが、記事中の講義で、看護系技官として厚労省にいた経歴のある福井教授と、参加者の質疑応答が非常に面白かった。

詳しく説明するとややこしくなるため、簡略化して書くと。


福井教授・・・今は高度急性期や急性期医療を行う病院(ベッド数)が多過ぎて医療費がかかっているために、2025年に向けて高度急性期や急性期のベッド数を減らそうと国は考えている。つまり、簡単に入院できなくなるし、入院したとしても早期に退院させられる。以前のように"病院での看取り"を行うことは難しくなる。そのため、今後は地域での医療介護連携、地域包括ケア、看取りが重要になる。

参加者の質問・・・国がベッド数を減らすと言っても、どうやって減らすのか? 国が医療機関を動かしているしくみが見えない、医療政策のやり方というものがよく分からない。


ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵


福井教授の回答・・・診療報酬を上げ下げすることで誘導している。具体的には、「あなたのところは急性期のベッドが多いから少なくしなさい」というように、自治体病院から促していったりする。

このやり取りから筆者は前回の比喩「ニンジンと馬と、行先を知らない市民」を思いついて書いたわけだが、よく考えたら「自治体病院から促していく」というのも、一般市民側からすると「そうなの!?」という話ではないかと思った。つまり、自治体病院の方が厚労省からのお達しが来やすく、極端な言い方をすれば厚労省の"手先"として動くことが多くなるわけだから。まさか、自分たちの街の病院にそんな役割が課されているとは知らない人も多いだろう。

恐らく一般市民からすると、その病院が「〇〇立」とかいうのは、わりとどうでもいい感覚ではないか、というかそんなこと考えもしない人も多いのではと思う。「通っている医療機関は何立?」と訊かれて答えられる人がどれぐらいいるだろう。一般的な感覚としては、公立でも医療法人でも個人開業でも、自分と相性の良い医者や医療スタッフがいて、納得のいく治療を受けられて、交通の便が良ければほぼマルではないか。

実は公立の方が厚労省や総務省の政策の影響を受けやすいとか、大学病院は文部科学省の影響も受けるとか、そんなこと知ったこっちゃないよなあと思う。

自分の乗ってる馬が、「在宅復帰率75%以上にすれば食べさせてあげる」とニンジンを遠くにぶら下げられ、乗っている本人は振り落とされそうになっているとか。突然「公立病院改革」というニンジンをぶら下げられ、馬は急に燃費の良さを求められて走るのにしんどそうになっているのだが、乗っている本人は「なんか急にしんどそうだけどなんで?」と思ったりしてるとか。

自分の乗っている馬にどんなニンジンがぶら下げられているのかが分からない、というのはとても不安な気持ちにさせられる。そんな状態では、医療不信も生まれやすくなるだろうと思う。

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