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有酸素運動と二重課題処理トレーニングで認知機能改善に効果―京大研究

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有酸素運動に加えて、二つ以上の課題を同時に行う「二重課題処理トレーニング」をすることで認知機能改善に効果があることを、京都大学大学院医学研究科の青山朋樹准教授が説明した。

ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵

京大が11月24日に開いた記者向けセミナーで、青山准教授が自身の研究について解説した。

二重課題処理トレーニング(デュアルタスクトレーニングとも言われる)は、運動しながら簡単な計算やじゃんけんをするなど、同時に二つ以上の課題をこなすことで脳の活性が促されるとして、認知症予防で注目されている。

以下は、青山准教授の話のまとめ。

・科学雑誌「ネイチャー」に今年載っていたレビューだが、身体活動を行うことで、脳や、目など感覚器、内臓器の活性が高まる。運動することで気晴らしになり、すっきりするというのは感覚的に分かっていたが、筋肉や骨から出るサイトカインが脳や目に直接的に働きかけて再生や修復を促しているということが明らかになってきた。

・1年間の有酸素運動により、記憶機能改善、海馬の脳容量が増加すると報告されている。サイトカインの中の脳由来神経栄養因子(BDNF)が正の影響をもたらし、BDNFの増加により脳容量が増すと言われている。

・そこで2015年にこのような研究をした。地域の高齢者に認知機能低下防止のために有酸素運動と、同時に二重課題処理トレーニングをしてもらう。週1回3か月間で全12回。その後の高齢者にいくつかの認知機能テストをすると、一般記憶と注意力の改善が得られた。これにより、有酸素運動に加えて二重課題処理トレーニングをすることで、認知機能が改善するということが分かった。

・この研究の中で面白いことに、短期記憶課題中の両側前頭前野の脳活動が減少していた。どういうことかというと、一つのことをやるのに慣れないうちは色んなところを動員しないといけないが、ある程度慣れができると一部の必要な領域だけ動員すれタスクを実践できるということ。


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