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健康と経済格差の関連
「健康格差を考える(下) 経済格差と連動性強まる」という記事を読んだ。
ちょうど先月末に「地域包括ケア 看取り方と看取られ方~第三次生活困難期における支援策」という「地域包括ケアの課題と未来」の改訂版が出て、書籍にある「社会的経済要因による健康格差」の項を読み直したところだったので、面白かった。
ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵
この項を書いた近藤克則教授は2005年に「健康格差社会~何が心を蝕むのか」を出して注目された。恐らく日本で最初に経済格差と健康の関連を指摘した研究者だと思う。
最初に「健康格差社会」を読んだ時に、「健康教育による行動変容は難しい」という趣旨の内容が書かれていて、目から鱗が落ちた。そもそも「運動は体にいい」「野菜を食べると健康にいい」など、誰もが当たり前に知ってる話だが、できないのには訳がある。そこを見ないで、ポスターやホームページで一方的に訴えても奏功しない。これまではそこを突っ込んで考えてこなかったのだと思う。
(この話を依存症に例えみると、例えば筆者の場合は過食嘔吐する摂食障害だったが、『食べ物が勿体ない』『そんなことをしたら親が悲しむ』なんて言われようものなら余計に悪化して過食嘔吐が酷くなったものだった。依存症になる人は真面目なタイプが多いため、正論なら百も承知だ。頭では分かっていてもできないからなおさら罪悪感にさいなまれ、余計に症状がひどくなる。だからこういうニュースを見ても、多分ポスターやリーフレットを作ったり、講座を開いたりして予算を消化するんだろうなと思ってしまうので、あまり期待できないなと思ってしまう)
では一体どうすればいいのか、といことについてはぜひ書籍「看取り方と看取られ方」をご覧いただきたい。日経の記事の中で、環境そのものを変えることの重要性に触れてあったが、WHOによる勧告に加えて医療専門職への期待などについても書かれている。