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必須試験か非関税障壁か

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

~ 動物試験を減らす欧米、残す日本 ~
(シリーズどうなってるの予防接種!?)

前回、ワクチンの安全性を担保するために生物学的製剤基準が設定され、国立感染症研究所によって国家検定が行われていることをご紹介しました。しかし実は、これが日本独自の非関税障壁になっているとも指摘され、政府として見直しを検討することになっています。

88v1.jpg 民主党政権時代の話ではありますが、政府は2012年7月10日、全39項目からなる「復旧・復興/日本再生分野」の「規制・制度改革に係る方針」を閣議決定しました。そのうち4項目が「『ワクチンギャップ』の解消」をめざすものでした。

 日本再生のためには、医療機器や航空(無線設備)などの産業分野に必要な規制・制度改革を行う必要がある、との考え方で、その中でもワクチンは重要なものと位置づけられたことになります。

 ワクチン関連の4項目(左表参照)それぞれに、一般人には難しい専門的な話が含まれるので、丁寧に説明していきます。

 まず一つ目の項目が「(前略)『生物学的製剤基準』について適時見直しを実施する」です。はい、いきなり出てきました。

動物の犠牲

 改革案を作り上げたのは、内閣府行政刷新会議の規制・制度改革委員会第1ワーキンググループ(復旧・復興/日本再生担当)でした。

 同WGが改革案を提出した際の資料を見ると「日本では動物を使用した試験や異常毒性否定試験といった試験方法を採用することが多いが、これらは日本独自のものであるとの指摘がある」と書かれています。

 たしかに前回、製品1ロットずつ行われるワクチン国家検定の際に、マウス・ラット・モルモット・ウサギなどの動物の体内にワクチンを入れて、その反応を確かめる試験が行われていると説明しました。

 あまり考えたことはなかったと思いますが、ワクチン製造の度に大量の動物を犠牲にしていることになります。もちろん、それが安全性や有効性を確認するためにどうしても欠かせないものであれば、疑義を呈するのは天に唾するようなものでしょう。

 しかし、同WGの議論に参考人として参加したグラクソ・スミスクライン株式会社の杉本俊二郎取締役(欧州製薬団体連合会ワクチン委員長)は、以下のように語ります。

「動物試験は(開発早期の)非臨床段階で必ず行うのです。そこで安全性が確認されたならば、承認後の製品に関しては代替試験で済ませて、動物の犠牲を極力減らそうというのが欧州の流れです」
88v2.jpg
 動物愛護活動の盛んな欧州では、市販後の自家試験や検定は細胞を使って代替し、生きた動物を使うのは避けようという流れになっているのだそうです。

 しかし、日本の生物学的製剤基準さらに国家検定項目に必ず動物試験が含まれている(右表参照)ため、欧州メーカーも日本で販売する際には動物を使った自家試験を行わざるを得ません。方法は違えども既に代替試験を行っているのですから、試験の重複であると同時に、それぞれのメーカー本国で大っぴらに言いたくないことを強いられているわけです。

高価格の一因?

 欧州メーカーの言い分は分かったとして、国が国民のために独自の基準を設けるのも当然のことです。なぜこれが政府として見直しを検討することになったかと言えば、「規格値及び試験方法の国際基準との不整合が存在するため、ワクチンの開発に時間・コストがかかり、海外のワクチン導入が進まない要因の一つとなっているものと考えられる」からだそうです。

 いま一つピンと来ないという方も、このコーナーの始まるきっかけが、不活化ポリオワクチンの価格が米CDC購入価格の5倍以上とあまりに高額で驚いたこと、その代金が税金から支出されるのに憤りを覚えたこと、だったと思いだしていただくと、案外重大な話と思っていただけるのではないでしょうか。

 次回に続きます。

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