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定期的な運動は認知機能にプラス

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 老齢女性では、長期間の定期的身体活動(ウォーキングを含む)に、認知機能の維持改善効果が見られたそうです。

Jennifer Weuve, ScD; Jae Hee Kang, ScD; JoAnn E. Manson, MD; Monique M. B. Breteler, MD; James H. Ware, PhD; Francine Grodstein, ScD
Physical Activity, Including Walking, and Cognitive Function in Older Women
JAMA. 2004;292(12):1454-1461. doi:10.1001/jama.292.12.1454.

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

●デザイン

Nurses' Health Study(*1)に参加した70歳から81歳までのアメリカ人女性を対象とした。

1995年から2001年にかけて、70歳以上で脳卒中既往症のない対象者に認知機能研究への参加を促し、連絡が取れない・参加拒否した・データに不備がある・特定の病気を抱えているなどの人を除いた18,766人に対して身体活動とベースライン認知機能の分析を実施した。平均1.8年後に2度目の認知力評価を実施し、認知力の変化について分析可能な人数はこれまでに16,466人となった。

1986年から開始した隔年実施の郵送アンケートで、余暇に身体活動をすると回答した女性を対象に、アンケート結果から平均エネルギー消費量による身体活動評価を行った。1995年から2001年にベースライン認知力評価を実施し、認知能力と認知力低下における平均との差と、身体活動の水準の相関を分析した。

●手法

1.身体活動に関する調査は、1986年、1988年、1992年、以降隔年にアンケートを実施し、余暇身体活動の詳細報告をしてもらった。女性たちは、前年に以下のような活動に使った週あたりの平均時間を報告した。

ランニング、ジョギング、ウォーキングまたはハイキング、ラケットスポーツ、ラップスイミング、サイクリング、エアロビクスダンス、マシンを使ったエクササイズ、芝刈りのような他の活発な活動、ヨガ・ストレッチ・トーニングのような低強度の運動。通常戸外を歩く時の速さについても報告した。さらに1日あたり階段をいくつ上るかも含めた。

静かに座っている時のエネルギー消費量を1METとして、身体活動を以下の代謝相当値に置き換えた。

ランニング(1マイルあたりを10分以下で走る) 12MET
階段上り   8MET
ジョギング(1マイルあたりを10分超で走る)、ラケットスポーツ、ラップスイミング、サイクリング 7MET
エアロビクスダンス、マシンを使ったエクササイズ、他の活発な活動 6MET
ヨガ、ストレッチ、トーニング 4MET
ウォーキング スピードに応じて2.5MET~4.5MET

このMET値に時間をかけてMET-hours/wkというエネルギー消費量計算のための数値を出した。

各女性のエネルギー消費量平均値を求め、5群に分けた。

低い   5.2MET-hours/wk未満(3,720人)
やや低い 5.2~10.0MET-hours/wk(3,760人)
中間   10.1~16.2MET-hours/wk(3,750人)
やや高い 16.3~26.0MET-hours/wk(3,753人)
高い   26.0MET-hours/wk超(3,753人)

ウォーキングの効果も測定するため、6MET以上の活発な活動を行った女性は統計から除外したところ、7,982人が残った。ウォーキングによるエネルギー消費量の平均値を求め、4群に分けた。

低い   1.9MET-hours/wk未満
やや低い 1.9~4.2MET-hours/wk
やや高い 4.3~8.5MET-hours/wk
高い   8.5MET-hours/wk超

この境界点は、1マイルを21分~30分かけて歩く普通の速度で換算すると概ね次のようになる。

低い   1.9MET-hours/wk未満  1週間あたり38分未満
やや低い 1.9~4.2MET-hours/wk  1週間あたり38分から1.4時間
やや高い 4.3~8.5MET-hours/wk  1週間あたり1.5時間から2.8時間
高い   8.5MET-hours/wk超   1週間あたり2.8時間超

2.認知力に関する評価は、1度目を1995年から2001年にかけて、2度目を1997年から2003年にかけて、ほぼ2年の間隔をおいて2度、訓練を受けた看護師による電話インタビューにより実施した。当初のインタビューにはTelephone Interview for Cognitive Status(TICS)のみを用いたが、後に五つテストを加え、全部で六つのテストを実施した。言葉の記憶、分野別多弁性(1分間にどれだけ多くの動物名を言えるか)、作業記憶と注意力測定などが含まれている。

身体活動と認知能力の全体的関連をまとめるため、テストすべてを受けた人(16,353人)では、6テストのz-スコア(個々のデータが平均値から標準偏差いくつぶん離れているかを評価する方法)を平均して全体得点を算出した。言語記憶はアルツハイマー病の発現を予測するうえで大いに役立つことから、即時想起と遅延想起関連4テストを受けた人(16,370人)ではこれらのテストのz-スコアを平均することで、言葉の記憶に関するテスト結果を一つにまとめた。

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