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睡眠のリテラシー60

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 世界の中で、我が国は睡眠の短さランキングの上位にあることが様々な調査から明らかになっています。ある国際機関の調査によれば、男性では同率1位の韓国とノルウェーに続いて3位、女性では1位です。もし景気や幸福度がこのように上位であれば、もっと誇れるはずです。

 我が国の睡眠は短いだけでなく、もう一つ特徴があります。それは男性と女性の睡眠時間の差に関するもので、男性より女性は16分ほど短いことです。この開きは世界1位の値になっています。そもそも国際的には男性と女性の睡眠は同じ位か、女性の方が長いというのがほとんどです。逆に、女性の方が短い国は日本に続いて、インド、メキシコになります。

 これらの背景にどのような要因が関わっているのか、しっかり検討する必要があります。上記の調査について、我が国の労働時間を見ると、男性では世界最長でした。一方、男性の家事に費やす時間は世界最下位に近く、1時間足らずです。余暇の時間については男女ともに世界最短に近いという結果でした。

 ここで国内に目を戻し、総務省の調査結果を見てみましょう。働いている男性と女性の睡眠時間の差に注目すると、経年的にその差は縮まってきているものの、直近では男性より女性の方がおよそ15分短いことが分かりました。

 この差はどこから生じるのでしょうか。就寝時刻を、仕事を持つ男女で比べると、女性の方が5分早く寝ていました。一方、女性は男性より20分早く起床していました。全体として、睡眠は女性の方が15分短くなるわけです。

 以上から、我が国の女性は睡眠に関して「割を食っている」と言えます。特に、女性の早起きは「朝は戦争」とたとえられる状況によるかもしれません。朝食作り、弁当作り、洗濯、保育園送りなど、朝はやるべきことがたくさんあります。これらは当然ながら女性の役割と決まってはいませんが、そうなっている家庭は少なくないのではないでしょうか。

 妻と夫は対等ですから、家事も平等に分担するのが筋です。であれば、日本の男性がろくに家事を行っていないのは大きな問題と言えます。ただ、女性からはお叱りを受けることになりますが、こうした現状を一気に変えるのはなかなか難しいようにも思われます。

 家事について女性からは、「夫があれもこれもやってくれるのは理想だけれども、大層なことではなく、朝のゴミ出しや古新聞のまとめのような、ちょっとしたことを率先してやってもらえると嬉しい」という意見をよく聞きます。日本の男性は、まずはこの辺りから始めるのが得策でしょうか。

 もちろん食器洗い、料理作り、風呂洗い、子どもの世話なども積極的に行うのが望まれます。こうした活動は家事の分担になるだけでなく、思いがけない良いアイデアの生まれる貴重な機会にもなります。

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