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そもそもかかりつけ薬局は難しいのでは?

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前回の記事で健康サポート薬局の件数が伸び悩んでいることを書いたが、健康サポート薬局が考え出された背景に、薬剤師から医師に対して減薬を提案するなど多剤併用に対する効果が期待されていたそうだ。

ただ、そもそも薬剤師から医師に対して減薬の提案などできるのだろうかと感じていた。現在の医療界のヒエラルキーの中で、医師はトップだ。薬剤師が医師に対して物申せることなど、例え正論であったとしてもこの文化の中では難しい場面の方が多いだろう。また、医師がその薬局を気に入らなければ、処方箋を回さないよう裏で根回しすることなどいくらでもできるだろうし、院内処方にしてしまえばいい。処方箋で食べている薬局からすれば、医師との関係は死活問題なのだ。

加えて、薬局の薬剤師は患者の病名を知らされるようになっていない。処方内容で、病気や症状を推測することしかできない。患者側から進んで情報提供しなければ、他にかかっている医療機関や飲んでいるサプリメントを把握することなど困難だ。

ハードルばかり高くて、薬局側のメリットはほとんどない。そんな状態で薬局が患者の薬剤を一元管理したり、かかりつけ薬局を増やそうと考えるのは根本的にズレていると思う。

この辺りのかかりつけ薬局がいかに非現実的であるかは、ロハス・メディカルの連載「梅村聡が斬る 門前から、かかりつけへ 薬局の方向は正しいか」(2015年11月号)に書いてある。多剤併用については薬剤師ではなく、本来かかりつけ医がすべきだという話には納得させられる。

ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵

さらに有効な手立てがロハス・メディカルの連載「曲がり角の国民皆保険 第4回データヘルス計画ひっそり始まる」(2015年11月号)に書かれている。

健康保険組合などがレセプトや特定健診データを使って加入者の健康寿命を延ばすための保険事業を行う「データヘルス計画」が始まっている。最近報道でもチラチラとデータヘルス計画による動きが報じられるようになってきていて、様々な問題点も見えてきている。このニュース(健康狂想曲 第3章・データヘルス1 「血糖値最悪都市」見えた 2 突き動かされた血圧通信簿)も面白い。


ロハス・メディカルの記事の中では、薬局が服薬状況を一元管理したり、減薬を提案することの難しさやメリットのなさを説いた上で、レセプト情報を全て持っている保険者ならそれが可能だと説いている。「その患者なり医療機関なりに対して警告を発し、場合によっては健康保険からの支払いを拒否する」。支払いが減るなら保険者にもメリットがあるため、レセプトを解析するなら真っ先にそこを洗い出すべきだとある。

これはまさしくその通りだと思う。データを解析して医療費抑制に役立ちそうな対策を考え、保険事業という形にしていくといった大変な業務に比べれば、よっぽどやりやすいと思う。

なぜ保険者はそれをしないのか、専門家や国が多剤併用について議論する時にそういう話にならないのか、わざとしないようにしているのか。薬局に薬剤を一元管理するという無理難題を押し付けず、できることをやってほしいと思う。

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