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米国と同じ土俵に乗った多施設共同研究

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鈴木 私も文部科学副大臣の時代に、アカデミアの使命、特に大学病院は、通常の病院でできないことにチャレンジしていただくというのが、極めて大事なミッションの一つだということを再定義させいただいて、その中で東大病院が岩坪先生のリーダーシップで、ファーストインヒューマンの体制整備までできたというのは非常に良かったなあと思います。

 それから研究の手法がですね、大量の患者さんのデータをとにかくいっぱい取らせていただくものになりつつあるのかなと思いました。私も元々はIT系の人間ですけれども、最近はビッグデータとかメガデータという話があって、imagingもビッグデータの一つだと思うんですね、相当なボリュームですから。それを溜めていくということが、仮説検証以前に大事な研究インフラであって、それが臨床医の皆さんと研究医の皆さんのクロスボーダーなコラボレーションによって形成されるという点も、この10年20年の新しいパラダイムなんだろうと感じます。そこに日本も追いつきつつあるということなのでしょう。

岩坪 データの取り扱いについて言えば、やはりアメリカが進んでいるという話になりますけれども、彼らは出てきた膨大なデータを最大限に活用することに心を砕いています。アメリカでは、大きな公的資金の入った研究成果について、できるだけ公開することと、シェアすることを厳しく推奨していまして、ADNIのデータも5年間にわたって連日データが積み上がってるんですけれども、最低限のデータチェックが終わると全世界に無条件で公開されています。もちろん中心となる研究者はどんどん使ってゆきますけれども、周辺の研究者、あるいは我々を含めた外国の研究者、研究者のみならず製薬企業が営利目的で使ってもよい。あるいは高校の生物の先生がADを説明理解するための教材として使ったりもしている、とにかくあらゆることに活用を推進していまして、それが大きな成功につながりました。

 日本では、我々も正直なところデータの膨大さに押し潰されそうになりながらも、関係する研究者全員の非常な熱意でデータが整理されつつありますので、いずれは近い将来、日本のデータが共有活用されて、企業の研究開発にもメリットがある、そしてアメリカのデータと橋渡しした時に、世界的に大きなインパクトが生じることは間違いありません。

鈴木 まさにオープンイノベーション、オープンプラットホームの極めてシンボリックな成功事例だと思いますし、その信頼されるパートナーに岩坪先生がなっていただいているということは、日本にとっても非常に素晴らしいことだと思います。そして、そのことはちゃんといずれ還元されると思っております。

 生物の先生の話はすごくいいお話ですね。例えば医療イノベーションも、そこに税金を投入していく、あるいは色々市民の善意を募っていく。資金的なことも、被験者の募集など、健常な人も含めて本当に多くの人たちの協力を得なければならないと。そうなると、この研究の持つ意味というのを、どれだけ深く一般の方々が理解していただいて、色々な形で協力いただけるかということが、とっても大事だと思います。そういうことに生物の先生の話などは、本当に貢献すると思います。

 ところで一点、日本の医療研究で気になっておりますのは、医学の研究者になる若者が減っているんですよね。

岩坪 そうです。

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