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問題放置のツケ、税金で払う

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

~とっても高い不活化ポリオワクチン~
(シリーズ どうなってるの予防接種!?)

 米CDC購入価格の5倍以上の5450円というメーカー希望小売価格となった不活化ポリオワクチン。メーカーの主張を細かく見ていくと、泥縄の予防接種政策のツケを国民が払わされたのだということに気づきます。

 前号で、メーカーのサノフィパスツールが、①世界的には単独ワクチンの用途が限られるため、日本向けを賄える工場がなく、新たにラインを設けた(②③は省略)④単独ワクチンの需要が最低2年の時限的なものと考えられるため、投資分の償却を短期に済ませる必要があった⑤2013年春からという国の当初の導入予定が突然半年前倒しになり、間に合わせるため投資がかさんだ、と説明していることを紹介しました。

 ほとんどの方がチンプンカンプンだと思いますので、解説します。

 現在、多くの国で不活化ポリオワクチンは単独で使われず、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合)に加えた4種混合ワクチンの形で製造・使用されるのが標準的になっています。日本でも、この夏に国内2メーカー(阪大微生物病研究会、化学及血清療法研究所)の4種混合ワクチンが薬事承認され、11月から定期接種に導入されるのでないかと見られています。だから、単独ワクチンの製造ラインを新しく設ける必要はある一方で、需要は時限的だろうという話になるわけです。

頼まれて作った

 このような将来性に乏しいものをメーカーが自発的に開発するとは考えられません。実際、今回も昨年5月26日の予防接種部会で委員たちに諮った後、厚労省がサノフィに開発を依頼したのだそうです。

 前回の厚労省のコメントにもあったように、ワクチンの価格決定に国は関与しません。一方、サノフィの側からすると、利益をきっちり確保しないと株主に責任追及されてしまいます。まして、急な注文ですから、単価が高くなるのは当たり前です。

 さらに、小宮山洋子大臣は当初、13年春導入という方針を明らかにしていましたが、昨年12月になって突如「(12年)秋の予防接種シーズンに間に合うよう督促している」との国会答弁が飛び出し(詳しいやりとりはコラム参照)、実際そのようにスケジュールが早められます。

 大臣の「政治主導」に応えて事務方が交渉し、サノフィ側も半年早めることに合意したわけです。その分の割増料金が発生することは株式会社の論理からすれば当然です。

 ということで、この高い高いワクチン価格は、厚労省がコスト度外視で行った注文の結果と考えるのが自然です。

長年放置のツケ

 次に出てくる疑問は、なぜこれほど急な注文を厚労省はしたのか、だろうと思います。

 これには、過去の経緯が影響しています。

 多くの国が、生ワクチン→不活化ワクチン→4種混合ワクチンと進んできています。ところが、日本では生ワクチンから一気に4種混合へ替えようとしました。

 実は日本でも単独不活化ワクチンの開発は国内メーカー(日本ポリオ研究所)によって行われており、11年前の01年に製造承認申請まで進んでいました。ところが、臨床試験に問題が見つかり、05年に承認申請を取り下げたのです。

 製造ラインが残っている時点で、海外メーカーに開発を依頼していたならば、それなりの単価で切り替えられたはずです。しかしなぜか、国内メーカーが開発を始めていた4種混合ワクチンの承認まで切り替えを待つことになって、世界より10年以上も長く生ワクチンを使い続けることになってしまいました。

 そうこうするうち、生ワクチンの危険性が世の中に知られるようになり、接種を控える親御さんたちが増え、ワクチン禍以上に恐ろしい本物のポリオ蔓延の危険性すら出てきたことから、背に腹は代えられなくなったということなのです。

 つまり05年時点で切り替えずに放置したツケが、今回の5450円に回ってきたということになります。

 さらに、国会質問(コラム参照)で三原じゅん子議員も指摘している通り、不活化ワクチンへ切り替えるためには、今回のように承認を急ぐだけでなく、緊急輸入するという手もあります。実際、神奈川県は昨年その手段を選び、輸入単価は1300円だったそうです。単純化すると、承認という道を選んだことによって4000円以上単価が高くなったことになります。

 次回へ続きます。

問題の参院厚労委員会の質疑(2011年12月1日)

三原議員
「大臣も国内で不活化ポリオワクチンが早くても平成24年度末に導入されるというようなことをお答えいただいておりますけれども、(中略)もっと早く流通するようにというのは当然誰もが考えることだと思うんですけれども、(中略)国内で開発されている不活化ポリオワクチンの導入を早めるということがまずできないのかどうか、それと、国内の不活化ワクチンを導入するのと諸外国から緊急輸入するのとどちらが早いのかということは、大臣に取りあえずお伺いしたいと思います」

小宮山大臣
「(前略)もう20年ぐらい前から言われているのに日本の取組が非常に遅かったという認識は持っております。(中略)これはなるべく早く切り替えていくべきだということは私自身もそのように思っています。
 国内で不活化ポリオワクチンを含む4種混合ワクチン、この開発をしていまして、今年、23年の末頃から順次薬事承認が申請される予定です。また、海外からの単品のこの不活化ポリオワクチンの申請も来年には出るというふうに聞いています。
 これは、なるべく早くこの審査を行うようにということは私の方からも言っておりまして、ただ、安全性がきちんと確認できないこととの兼ね合いなんですが、24年度末が一番早いと言っているんですけれども、私の方からは、可能な限り、安全性はもちろん担保しながらも、少しでも早く承認ができるように、そして、やはりこれは秋の予防接種の時期に間に合うようにということを今私の方からは督促をしているところでございます。
 ただ、繰り返しになりますが、そこは安全性をなるべく最速でチェックをしてということでございまして、ただ、緊急輸入については、やはり国内の臨床試験データ、十分集積していないためにその有効性とか安全性が確認できていないということから、少しでも早く不活化ポリオワクチンの承認申請をしっかりと承認ができるようにしていくというのが私が今取り得る最善の方法ではないかというふうに考えているところです」

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