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睡眠のリテラシー49

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 働いている方にとって、今の職場はどのくらい快適でしょうか。また、現在は働いていない方でも、かつての職場はいかがでしたか。例えば、騒音がある、照明が暗い、換気が悪いなどの状況であれば、物理的な理由で気持ちよく働けません。

 快適に働けないもう一つの大きな要因は、職場の人間関係や雰囲気でしょう。いかに美しく、素晴らしいオフィスであっても、社内の人々は無愛想で冷たく、顔を見ればケンカが始まり、お互いに敵のような状態では、真っ当に働くのはまず無理です。転職も視野に入れたほうがよいかもしれません。

 最近、職場のあり方が睡眠とどのように関連するかについて、研究が進んでいます。フィンランドの公務員およそ4万人(うち8割は女性)を対象にした研究では、職場の一体感(社会的資源)という面から職場の特徴を捉えました。

 職場の一体感はいくつかの側面から測ります。まず信頼関係です(質問の例、「あなたの職場では、お互いにどのくらい信頼し合っていますか」)。次に相互支援に関わります(同、「あなたの職場では、助け合おうという雰囲気がどのくらいありますか」)。そして、結束の強さです(同、「あなたの職場では、<共に働こう>という姿勢がどのくらいありますか」)。それぞれの質問に対する回答から、職場の一体感の程度を低中高と3分割しました。

 睡眠については、寝つきが悪かったり、途中で目が覚めたりすることなどが過去1カ月間にどのくらいあったかを尋ね、睡眠問題の多い群と少ない群に分けました。

 これら二つの関連を調べたところ、職場の一体感の高い群に比べて、低い群では睡眠問題の多くなる確率が24%増えることが分かりました。

 この研究結果は多数の労働者から得られていますので、信頼できます。ただし、睡眠は質問紙で測定していますので、その回答が本人の睡眠状況を正確に表しているかは疑問の残るところです。

 そこで私たちは少人数(55名)の労働者に参加していただき、連続7日間にわたる睡眠を携帯型活動量計を使って測定しました。職場の一体感と客観的な睡眠のデータとを結び付けて調べた結果、職場の一体感が高いほど、睡眠時間は長く、睡眠効率(就床中に実際に眠っている割合)は良く、睡眠中の動きも少ないことが分かりました。つまり、職場の一体感が高いと、睡眠は主観的にも客観的にも良好である可能性が示されました。

 上司や同僚が相互に信頼し合い、フォローし合いながら、同じ目標に向かって一丸となって前進するという職場は、なんと魅力的でしょうか。職場の一体感と睡眠との因果関係は今のところ明らかではないですが、一体感の高い職場では快適に仕事ができるから、ぐっすり眠れるのかもしれません。そうなると、次の日も良い仕事ができ、より快適な職場になる。このような好循環をぜひ実現したいものです。

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