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感染症の検査はこうします
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検査の現場から10
東京大学病院感染制御部講師 森屋 恭爾
SARSや鳥インフルエンザ、耐性菌など感染症の話題を色々な記事で目にすることが多くなりました。
突然襲ってくる病原性物質というイメージが感染症にはありますが、話はそう単純ではありません。もともと我々人間は口の中、皮膚、腸に多くの微生物と共存して生活しています。その共存共栄が破綻して今まで仲間であったものが病気を引き起こすこともあります。
では感染症が疑われる時、行われる検査にはどんなものがあるでしょうか。
一つは感染が起きている場所から直接検体(血液や痰、尿、膿)を採り出し染色し微生物を見つけだす方法です。また検体を寒天培地に植えて培養を行い病気を引き起こしている微生物を確定し、薬剤を加えて微生物への有効性(感受性といいます)を検討する検査も行います。
肺炎が疑われた際に痰を出していただいたり、膀胱炎が疑われたときに尿を検査に出していただくのはこの検査です。
簡便でしかも多くの情報が得られます。痰の検査の場合、口の中には無数の常在菌がいますから、うがいをしていただき、痰を胸の奥から出していただくと病原菌の決定は正確になります。また採痰室という部屋も準備しております。
もう一つ、病原微生物が体内に侵入し増殖する際に体の防衛反応である免疫反応によって作られる抗体を検出するという方法、また増殖している微生物そのもののたんぱくの一部などを直接検出する方法があります。
この検査では主に患者様の血液を頂戴して検査を進めることになります。麻疹やウイルス性肝炎の抗体検査がこれあたります。
インフルエンザ感染を確かめるために鼻の中に細い棒を入れる検査もウイルスたんぱくを捕まえる方法です。
推理小説にも出てくる遺伝子増幅(Polymerase chain reaction)またLAMPという方法も喀痰からの結核菌の検出確認などに使用されています。