全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。

O157だけじゃない! 息子がBBQで食中毒!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

小学2年生になる下の息子が昨朝、吐き気を訴え、37.5℃前後の微熱が続いていました。たぶんカンピロバクターによる食中毒、と我が家では判断し、抗生物質を与えたところ効果てきめん。急速に回復しています。O157 が問題になっていますが、最も身近な食中毒は、実はカンピロバクターなのです。

ロハス・メディカル専任編集委員 堀米香奈子

カンピロバクター食中毒の一番の原因は、加熱が不十分な鶏肉や、その調理器具からの感染で、国内発生件数NO.1

大事なのは、原因菌を「付けない、増やさない、殺菌する」こと。増やさないためには食材の低温保管は必須です。殺菌には、熱湯消毒が一番早い・・・と、数日前も自分で取り上げておきながら、徹底できていませんでした。恥ずかしい限りです。猛省!

カンピロバクター件数.jpg

下の子、思えば一昨日もあまり食欲がなく・・・。顕著な症状が出たのは昨日。起きぬけからなのでお腹が空っぽで、えずくばかりで何も吐けない状態が続き、とても辛そうでした。前日までの数日間、行動を共にしていた家族や友人たちは何ともなく、当初は原因が何なのか想像もつかず、親としても手をこまねいていました。ノロはもっと急に来ると経験上分かっているし、お腹が痛かったり下したりもないし・・・消去法で残ったのが、その2日前のBBQでした。生の鶏肉を焼いたし、潜伏期間から考えてもカンピロバクターでは? と・・・。

BBQでは、昨今O157が問題になっているので、参加した他の家族もそれなりに用心していました。もちろん誰も生肉を手で直に触ったりはしていません。それでも、今思えば、限られた調理環境で、調理器具などの消毒も充分ではなかったと思います・・・

●生の鶏肉を扱ったテーブル(生肉は接触しておらず、その後拭いて使用しましたが)を囲んで食事をしました。
●子供もホットドッグなどを手に持って食べていました。(一応キッチンペーパーにくるんだのですが、うまく食べられずに手で押さえたりしていました)
●パンを切るのに、レンタルのナイフを熱湯消毒せずに使ってしまいました。(野菜用で生肉を切ったりはしていません)
●ついつい、生肉を扱ったトングで、食べ頃の肉を取り分けるようなことがあった可能性もあります。

一応の用心のおかげか、息子以外に同じ症状の人はいないようです。だから、本当はBBQが原因だったかどうかは分かりません。原因菌も分かりません。

でも、数日の潜伏期間を経て発症すること、種類を慎重に調べて与えた抗生物質(少し前に別件で処方されたけれども、結局最初から全く飲まなかったもの)を与えると急速に回復し、薬が切れてくるとまた気分が悪くなり、薬を飲ませると良くなり、といった状況から、残念ながら今回は、カンピロバクターだろうと思っています。

なお、抗生剤は正しく使わないと耐性菌の問題なども生じ、キケンです。飲み始めてから途中で勝手に飲むのをやめて、余らせるのは絶対NG。万が一余ってしまった場合には捨てるのが正解で、素人判断で抗生剤を飲ませるのはいけないこと、です。(今回、実は私は主人に相談しました。主人は医学博士でがんの研究者、抗生物質についての見識は確かなので)

ただ、現実問題として、医療機関ではわざわざ食中毒の検査をしてくれないことも多いんですよね。結果が出る頃には治っているのがほとんどだからです。やっぱり、食中毒は予防するべき、と痛感したのでした。(泣)

  • 患者と医療従事者の自律をサポートする医療と健康の院内情報誌 ロハス・メディカル
月別アーカイブ
サイト内検索