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増えてます。危ないです。肺炎
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さて、そうはいっても心がけではどうにもならないことも多くあります。そのためにできることのひとつが、予防接種。肺炎の原因でもっとも多い肺炎球菌に効果を発揮する「肺炎球菌ワクチン」です。実は、肺炎球菌には90種類以上の型があるのですが(インフルエンザでも香港A型とかありますよね)、肺炎球菌ワクチンはそのうち感染する機会の多い23種類に対して免疫をつけることができます。これは肺炎球菌による感染症の約80%。死に至るような重症を防ぐため、65歳以上の人に勧められています。
もちろん、肺炎球菌以外による肺炎のことも考えると、やはり予防の基本は毎日の習慣から。手洗い・うがいです。手を洗うときは、指一本一本こするように、肌の露出しやすい手首まで洗うようにしましょう。うがいは喉でがらがら音を立てて、頬を膨らませてきちんと繰り返すことで、口の中の雑菌をだいぶ取り除くことができるようです。
強力な抗菌薬が効かない耐性菌も出現してきた今、肺炎の治療を抗菌薬に頼るのには限界があります。そこで予防がますます重要になってきているというわけです。予防接種や対策は明日の自分のため、なおかつ未来の自分とみんなのためと言っても過言でないかもしれません。
赤ちゃんへのワクチンは? 現在、日本で使用されている肺炎球菌ワクチンは、23種の肺炎球菌の細菌のカラの部分を精製したもの(23価肺炎球菌ワクチン)。問題は、2歳未満の乳幼児の場合はこのワクチンでは免疫機能がうまく働かず、予防効果がないこと。中耳炎にも効果が認められません。これに対し、子どもによくみられる7種の肺炎球菌に限って精製した7価肺炎球菌ワクチンは、乳幼児でも十分効果があり、副作用も少なく、中耳炎にも有効。ただし日本ではまだ治験段階で、早期の承認・導入が待ち望まれています。