全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。
脳卒中やTIA歴のある人への降圧治療と認知症との関係
脳卒中歴や一過性虚血発作(TIA)歴のある人を対象とした無作為抽出二重盲検プラセボ対照試験において、開始時に認知機能低下が見られない人では、ACE阻害剤と利尿剤による治療が認知症予防に結び付くことが分かりました。
Effects of Blood Pressure Lowering With Perindopril and Indapamide Therapy on Dementia and Cognitive Decline in Patients With Cerebrovascular Disease Tzourio C, Anderson C, Chapman N, Woodward M, Neal B, MacMahon S, Chalmers J; PROGRESS Collaborative Group. Arch Intern Med. 2003;163(9):1069-1075. doi:10.1001/archinte.163.9.1069.
川口利の論文抄訳
発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。
高血圧と脳卒中は、認知症および認知機能障害リスクを高めることと関連がある。本研究は、血圧を下げることが認知症および認知機能障害リスクを低下させるかどうかを、脳血管疾患患者において決定することを目的とした。
Perindopril Protection Against Recurrent Stroke Study(PROGRESS)は、脳卒中や一過性虚血発作を起こしたことのある6,105人対象の無作為抽出・二重盲検・プラセボ対照試験であった。対象者は、積極的治療群(以下、治療群と表記する。)、またはプラセボ群に振り分けられた。治療群では、ペリンドプリルが全員に処方され、インダパミドは、利尿剤に対する指示および禁忌両方がない対象者に処方された。本分析での主要アウトカムは、「精神障害の診断と統計の手引き-第4版」基準による認知症と、ミニメンタルステート検査での3点以上の得点低下による認知機能低下であった。
平均3.9年の追跡調査期間中に、治療群3,051人中6.3%にあたる193人に認知症が証明され、プラセボ群3,054人中では、7.1%にあたる217人に認知症証明がされた。相対リスク低下割合は12%(信頼区間95% -8~28% P=0.2)という結果だった。認知機能低下は、治療群では9.1%に、プラセボ群では11.0%に起こり、リスク低下は19%(信頼区間95% 4~32% P=0.01)となった。認知症と再発脳卒中、および認知機能低下と再発脳卒中の複合結果でのリスクは、再発脳卒中が存在しないことにおける認知症または認知機能低下に与える明確な効果はなかったが、それぞれ34%低下(信頼区間95% 3~55% P=0.03)、45%低下(信頼区間95% 21~61% P<0.001)となった。
ベースライン時認知機能障害エビデンスのあった964人においては、治療の明らかな効果は見られず、相対リスク低下は-5%(信頼区間95% -42~22% P=0.7)であったが、ベースライン時認知機能障害エビデンスのなかった5,141人においては、31%(信頼区間95% 6~49% P=0.02)という有意な相対リスク低下が見られた。
●背景
1990年に認知症は高所得国における死亡および障害の主たる要因8位となったが、2020年までには、認知症に起因しうる疾病負荷が50%増大するものと予期されている。認知症予防に対する安全で効果的な介入の識別は、それ故に臨床的・公衆衛生的優先事項となっている。観察的研究のいくつかは、血圧の上昇と脳血管疾患歴がそれぞれ長期的な認知症および認知機能低下リスクと強く関連することを示してきている。血圧を下げる介入は、脳血管疾患予防に対する直接的効果、または臨床的表現である神経変性過程に対する間接的効果によって、認知機能低下リスクを減少させるかもしれない。降圧剤に関する三つの完了済み大規模無作為抽出対照試験が、認知症リスクまたは認知機能測定での降圧剤治療効果を報告している。一つ目は研究治療の認知症に対する明確な効果確認はしておらず、二つ目は認知機能に対する効果確認はしていないが、三つ目は認知症リスクに対する降圧剤治療の有意な有益効果を報告した。しかしながら、その研究においては、32件の認知症が記録されたのみで、治療効果推定に関する信頼区間が非常に幅広くなっていた。それ故に、認知症および認知機能低下の他指標に対する血圧を下げることの効果は、実質上臨床的に不明確なままとなっているのである。
最近終了したPROGRESSは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬と利尿剤を含む降圧剤処方計画が、脳血管疾患歴のある人々において脳卒中および他の主要血管事象リスクを減少させることを示した。研究治療処方計画が、事前に明記されたエンドポイントである認知症および認知機能低下に与える効果についてここに報告するものである。
●方法
(1)研究設定および対象者
6,105人の対象者は、1995年5月から1997年11月の間に、10カ国172の協力センターから募集された。対象者は、5年前以内に脳血管疾患歴(脳卒中または一過性虚血発作。くも膜下出血は含まず)があれば適格となった。さらに、対象者に、明確なACE阻害薬治療指示および禁忌のどちらも出されていないことを条件とした。血圧による基準は登録時に設定されなかった。ベースライン時に血液サンプルが採取され、後にDNA抽出とアポリポ蛋白E4遺伝子多型識別が実施された。
ペリンドプリル使用観察期間最低4週間を我慢し厳守した対象者に、無作為二重盲検方式により継続して積極的治療を受ける群とプラセボ群への割り付けが実施された。無作為治療割り付けは、研究センター・年齢・性別・登録時収縮期血圧・含まれる診断・ペリンドプリルおよびインダパミドまたは両プラセボによる併用療法を始める意図・ペリンドプリル単独または単独プラセボによる単剤治療を始める意図による階層化を伴う中央コンピュータによる無作為化サービスによって提供された。積極的治療は、ペリンドプリル4mg/日を全員に処方し、責任ある研究医が利尿剤使用に対する特定指示も禁忌もないと信じる対象者にはインダパミド2.5 mg/日(日本では2.0 mg/日)を追加処方する弾力的な治療方式となっていた。プラセボ群に割り付けられた対象者は、実薬と外見上同一の錠剤を受け取った。単剤治療よりは併用療法を使用する理論的根拠は、血圧降下を最大限にするためであった。
(2)認知機能および認知症の評価
認知機能は、すべての対象者について、ベースライン時・6カ月訪問時・12カ月訪問時、以降追跡調査終了まで1年に1回、ミニメンタルステート検査を用いて評価された。ミニメンタルステート検査でうまく完了した項目には1点(最大30点)が与えられ、落とした項目は0点となった。質問票は、研究開始当時中国語や日本語での入手は不可能であったことから、中国人および日本人対象者には文脈上適切な翻訳がされた。
追跡調査期間中、認知症診断には、2相スクリーニングおよび評価過程が用いられた。追跡調査期間中に以下の標準のどれかを満たした場合、対象者は認知症可能性大に陽性振り分けされた。
1 いずれかの追跡調査訪問時にミニメンタルステート検査得点が25点以下であった。
2 いずれか2回の追跡調査訪問時の間でミニメンタルステート検査得点が3点以上低下した。
3 予定された追跡調査訪問2回以上に対するミニメンタルステート検査得点が不明である。
4 「あなたの意見では、この患者は認知症ですか?」という質問に対する、調査者による肯定的回答があった場合。
陽性に振り分けられた対象者は、認知症診断経験のある地域専門家による、公式診断臨床評価へと照会された。
臨床的評価には、可能な限りにおいて、患者本人と親友または親族両者との面談を含めた。研究対象者を評価に利用することが不可能であったり死亡していたりした場合は、医療記録・家族への面談・他の医師への相談など他に入手可能な情報源からデータを求めた。情報は、「精神障害の診断と統計の手引き-第4版」に定義されている認知症の症状基準に基づくチェックリストを用いて収集された。すべてのスクリーン陽性症例に対して、収集された情報と地域専門家による診断が2人制中央認知症裁定委員会の同意により再調査され、確定または却下された。「精神障害の診断と統計の手引き-第4版」基準に基づき、それぞれのスクリーン陽性症例は、最終的に認知症裁定委員会により以下のように分類された。
1 確実な認知症
2 かなり確実な認知症(認知症の可能性大)
3 不確実な認知症(認知症の可能性あり)
4 認知症ではない
すべての対象者が脳血管疾患歴を有し、他の血管危険因子の存在も頻繁であったことから、認知症サブタイプ分類は行わなかった。すべてのスクリーン陰性対象者は、認知症ではないと分類され、すべての評価は、研究治療割り付けを伏せて実施した。
(3)結果
主要アウトカムは、以下の2点であった。
1 「精神障害の診断と統計の手引き-第4版」基準により、確実な認知症、またはかなり確実な認知症と定義される認知症。
2 ベースライン時と最終記録時との間でミニメンタルステート検査得点が3点以上低下として定義される認知機能低下。
認知症も認知機能低下も、PROGRESSにおいて事前に明記されたエンドポイントであった。観察的研究においては、認知機能低下リスクは脳卒中発生と強く関連付けられていることから、以下の四つの追加的複合結果に対する治療効果が研究された。
1 脳卒中再発に伴う認知症(追跡調査期間中における脳卒中後の認知症診断)
2 それ以外の認知症(それ以外のすべての認知症診断症例)
3 脳卒中再発に伴う認知機能低下(追跡調査期間中における脳卒中後の認知機能低下診断)
4 それ以外の認知機能低下(それ以外のすべての認知機能低下症例)
ベースライン時と最終評価時との間でのミニメンタルステート検査得点の定量的変化についても、治療2群間で比較した。
(4)統計分析
すべての分析はintention-to-treat(*1)の原則により実施され、すべての無作為抽出対象者がすべての分析に含まれた。ベースライン時ミニメンタルステート検査得点不明者32人については、可能な場合において(7人)、6か月目訪問時に記録された得点を帰属させた。残り25人と、ミニメンタルステート検査評価1回のみの192人については、認知機能低下基準には適合しないと仮定した。
認知症および認知機能低下の二分結果に対する研究治療効果オッズ比算出のため、ロジスティック回帰モデルを使用した。リスク低下割合は、(1-オッズ比)×100で推定した。ベースライン時と追跡調査時の間でのミニメンタルステート検査得点中央値に対する研究治療効果は、線形モデルによって測定した。
主要サブグループ分析は、併用療法と単剤治療による研究薬処方計画、ベースライン時の高血圧の有無(収縮期血圧160mmHg以上、および/または拡張期血圧90mmHg以上)、ベースライン時認知機能障害エビデンスの有無(ミニメンタルステート検査得点25点以下、および/または「あなたの意見では、この患者は認知症ですか?」という質問に対する肯定的回答)に従って実施した。ベースライン時認知機能障害評価が欠乏していた2人については、ベースライン時には認知機能障害がなかったと分類した。サブグループにおける標準化された治療効果推定は、サブグループ特定併用療法効果と単剤治療効果を合わせて算出した。
●結果
(1)ベースライン時特性
治療群とプラセボ群の間には、年齢・性別・教育水準・ミニメンタルステート検査得点・アポリポ蛋白E4対立遺伝子頻度のような、認知症に影響を与えるかもしれないベースライン時対象者特性に対する良いバランスが保たれていた。
(2)無作為抽出治療へのこだわりと治療の血圧に対する効果
平均追跡調査期間3.9年の間に、治療群23%、プラセボ群21%、P=0.02、全体で22%の対象者は、死亡以前あるいは最終予定訪問以前に研究薬使用を永久中断していた。永久的な治療中断の主な理由は、対象者の決断が治療群7.6%プラセボ群8.2%、咳が治療群2.2%プラセボ群0.4%、低血圧が治療群2.1%プラセボ群0.9%、ACE阻害薬または利尿剤治療を要する心不全が治療群1.5%プラセボ群2.3%となった。
治療群とプラセボ群での平均血圧差は、9/4mmHg(標準偏差0.3/0.2mmHg)だった。対象者の58%で実施された併用療法での治療群とプラセボ群の平均血圧差は12/5mmHg(標準偏差0.5/0.3mmHg)であったのに対し、単剤治療での治療群とプラセボ群の血圧差は5/3mmHg(標準偏差0.6/0.3mmHg)、収縮期血圧および拡張期血圧ともに同質性に対するP<0.001となった。
(3)認知症リスクに対する治療効果
無作為抽出対象者全員が、少なくとも1度は認知症に対する振り分けをされ、治療群768人、プラセボ群812人、合計1,580人が陽性に振り分けられた。認知症に対する臨床的評価は、陽性振り分けを受けたうちの98.2%にあたる1,552人に対して、1,049人は差し向かいで、残り503人は本人不在時に行われた。臨床的評価を受けなかった振り分け陽性対象者28人は、認知症がないものと仮定された。地域専門家は、358人を認知症、8人は診断を下す十分な情報はなかったものの1,194人は認知症ではないと診断した。認知症裁定委員会は、地域専門家診断の7.4%にあたる116人に関し、「精神障害の診断と統計の手引き-第4版」基準で提供される認知症の詳細との比較後に、認知症とされた32人を認知症ではないに、認知症ではないとされた84人を認知症へと再分類した。それ故に、認知症診断は410人に下され、295人は差し向かいで、115人は本人不在時に評価された。これら410人中26.3%にあたる108人は、追跡調査期間中に認知症診断に先立ち脳卒中も発症しており、再発脳卒中に伴う認知症と分類され、残りの302人は他の認知症と分類された。
治療群における6.4%193人、1,000人年中16件、プラセボ群における7.1%217人、1,000人年中19件が認知症と診断された。積極的治療は有意とはならず、認知症リスクを12%減少させたが信頼区間95%で-8~28%、P=0.2となり、再発脳卒中に伴う認知症リスクは34%(信頼区間95% 3~55% P=0.03)低下させたが、その他の認知症においてリスク低下は認められず、相対リスク低下1%(信頼区間95% -24~22% P=0.9)であった。認知症に対する治療効果推定値は、分析対象を差し向かいで診断された症例に限定しても実質的には変わらなかった。
(4)認知機能低下リスクに対する治療効果
認知機能低下評価は、全対象者の96.4%にあたる5,888人から入手可能となった。治療群117人、プラセボ群100人、合計217人は、ベースライン時ミニメンタルステート検査得点がない25人かミニメンタルステート検査結果が1回しかない192人で、認知評価対象とはならなかったが、本分析の目的から認知機能低下はないと仮定された。治療群の9.1%にあたる276人、1,000人年中23件、プラセボ群の11.0%にあたる334人、1,000人年中28件、全体で610人に認知機能低下が認められた。認知機能低下の認められた610人中21.9%にあたる134人が、追跡調査期間中に認知機能低下診断に先立ち脳卒中を発症しており、再発脳卒中に伴う認知機能低下と分類された。残りの476人は、それ以外の認知機能低下と分類された。
積極的治療は、認知機能低下リスクを19%(信頼区間95% 4~32% P=0.01)減少させ、再発脳卒中に伴う認知機能低下という複合結果を45%(信頼区間95% 21~61% P=0.001)減少させた。他の認知機能低下に対する認識できる治療効果は存在せず、リスク低下9%(信頼区間95% -10~24% P=0.35)となった。認知機能低下をミニメンタルステート検査得点2点低下とした分析では全体的リスク低下が17%(信頼区間95% 5~28% P=0.009)、4点低下とした分析では17%(信頼区間95% -1~31% P=0.07)、認知機能低下評価を受けていない217人を除外した分析においても、治療効果推定値は実質的には変わらなかった。
(5)対象者サブグループにおける治療効果
境界域で有意な不均質(P=0.05)が、研究登録時の認知機能障害に基づいて定義されたサブグループの認知症に対する治療効果間に現れた。ベースライン時認知機能障害エビデンスのあった964人においては、治療の明らかな効果は見られず、相対リスク低下は-5%(信頼区間95% -42~22% P=0.7)であったが、ベースライン時認知機能障害エビデンスのなかった5,141人においては、31%(信頼区間95% 6~49% P=0.02)という有意な相対リスク低下が見られた。また、併用療法対象者では相対リスク低下が23%(信頼区間95% 0~41% P=0.05)となり、単剤治療対象者の-8%(信頼区間95% -48~21% P=0.6)よりも大きな治療効果傾向が見られたが、有意差には至らず均質性のP=0.1となった。しかしながら、ベースライン時認知機能障害または研究治療方式により定義されたサブグループの組み合わせのいずれに対しても、認知機能低下結果に対する対応するような傾向は見られなかった(均質性のP≧0.5)。ベースライン時血圧状態によって定義されたサブグループ対象者に対しては、いずれの結果についても治療効果における差異エビデンスは見られなかった(均質性のP≧0.1)。
(6)平均ミニメンタルステート検査得点に対する治療効果
ベースライン時から追跡調査までのミニメンタルステート検査得点変化は5,888人から入手できたが、ベースライン時ミニメンタルステート検査得点が不明またはミニメンタルステート検査評価1回のみの217人からは得られなかった。5,888人中、ベースライン時から最終評価までの得点低下は治療群でより少なく、平均0.05点、標準偏差±0.05であったのに対し、プラセボ群では平均0.24点±0.05であった。ミニメンタルステート検査得点低下における両群の平均差異は0.19点±0.07(P=0.01)となり、サブグループ間ではいずれにおいても治療効果における差異の明らかなエビデンスは見られなかった(均質性のP>0.2)。
●考察
脳卒中または一過性虚血発作歴のある人を対象とした本大規模無作為抽出試験は、認知症および認知機能低下リスクに対する血圧降下による効果に関して、今日までに最も信頼できるエビデンスを提供している。認知症の全体的リスクに対する明らかな治療効果は見られなかったが、脳卒中再発に伴う認知症という複合結果リスクは3分の1に減った。認知機能障害の別の指標に対する治療の明らかな有益効果も認められ、認知機能低下の全体的リスクは約5分の1に減り、脳卒中再発に伴う認知機能低下という複合結果リスクは約半分に減り、プラセボ群でのミニメンタルステート検査得点の全体低下は、治療群によって防がれたように見えた。これらの恩恵は、死亡率に対する研究治療効果とは独立しており、高血圧者にも非高血圧者にも同様であるように思える。
PROGRESSにおいての認知機能障害の様々な指標に対する研究治療効果は、追跡調査期間における脳卒中再発に関連する認知症および認知機能低下リスクの減少を主として反映しており、治療の恩恵は、認知症および認知機能低下に対する直接的効果というより、主に脳卒中予防に引き続くものであることを示している。この結果は、脳卒中後の認知症リスクは高いということを示しているいくつかの観察的研究結果と一致しており、先行する無作為抽出試験が、血圧を低下させることは脳卒中リスクを下げると示していることにも一致する。
高齢者の割合が増加するにつれ、脳卒中・認知症・認知機能障害に起因しうる疾病に対する全世界的負荷は、実質上高まると予期される。いくつかの観察的研究が、高血圧および脳血管疾患を認知症および認知機能障害の重要なる決定因子として見極めてきており、本研究では、血圧低下に基づく予防戦略の有益効果を確認している。これらの恩恵は、先行して報告されているものに加えられた時に、脳卒中または一過性虚血発作歴を有する患者すべてに対して、ペリンドプリルおよびインダパミドによる血圧低下が考慮されるべきであるという推奨をさらに支持するものとなるのである。