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在宅医、小野沢滋氏の話が面白い
日経メディカルの小野沢滋氏のインタビュー「亀田総合病院の部長を開業に駆り立てた危機感」が面白い。
小野沢氏と言えば、亀田総合病院(千葉県鴨川市)で在宅医療部を立ち上げた在宅医療界の有名人。今は神奈川県相模原市に在宅医療専門クリニックを開業し、地域の在宅医療・介護のネットワークの運営なども行っている。筆者は同病院の関連法人に出向していた際にお世話になったが、とても気さくな人柄でありながら、現在の医療の問題点を誰にでも分かりやすく、歯に衣着せぬ物言いで明快に指摘される傑物だった。小松秀樹氏との議論は聞いているだけでエキサイティングだった。
ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵
インタビュー記事中の、
「介護のために仕事を辞めて困窮してしまう人を、なくさなければならない」
「僕が一番やりたいのは、社会的包摂。これをいかに実現するか。介護により、特に女性や子どもが貧困に陥るのを何とかしたい。今はまだ十分な取り組みができていないが、クリニックが軌道に乗り医師が増えたら、積極的にやっていきたい」
「医療費が公費や保険料を財源としている以上、民間の医療機関も『公』の役割を考えなければいけない。やはり、社会的な何かがやれないとつまらないし、自分が面白いと思えるような仕事をしたい。それだけなんですよ」
「地域包括ケアの課題と未来」書籍を作る際にも、何度もこの話を聞いた。変わらぬ姿勢で在宅医療に関わっておられるのだなと感じた。
自院での活動を見てみると、現在クリニックで抱える在宅患者は約60人。1日6、7件くらい訪問するものの、既に手いっぱいだという。また、株式会社と連携し、「通い」「訪問」「宿泊」を複合的に提供する「小規模多機能型居宅介護」サービスを実施。高齢者の生活をトータルに支える体制を作っている。さらに住民支援に関しては、働く女性などの子育てを支援するスペースを自宅敷地内に設け、無料開放。教師を雇い、算数塾も開いている。この費用も無料だ。
在宅医療・介護の支援は、必然的に子育て支援にも結び付く。同じ生活支援としては切り離せないものだが、「言うは易く行うは難し」だと思うので、さすがだなと感じた。
小野沢氏の執筆した一部がロハス・メディカル本誌に掲載されているので、ぜひご覧いただきたい。在宅医療に関する見方、考え方が変わることは間違いないと思う。
亀田総合病院地域医療学講座
●急性期病院から退院 最善の道は針の穴ほど(ロハス・メディカル2014年8月号)
●介護は家族で、の因習が日本の未来を暗くする(ロハス・メディカル2014年10月号)
●メタボ健診よりも虐待健診を(ロハス・メディカル2014年12月号)
●在宅医療の役割分担 医師は基本的に裏方(ロハス・メディカル2015年3月号)
●孤独死は減らせるのか(ロハス・メディカル2015年4月号)
●医者の出す薬は効くのか? 多剤投与の害悪(ロハス・メディカル2015年5月号)