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緑色のウンチ、原因は意外なあのジュース?!

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『緑色のウンチ』が出たとき覚えておきたい事」というネット記事を読みました。我が子2人のお尻を何年も拭かされていた経験から、私には1つ思い当たる原因がありました。当然記事で言及されていると思ったのですが、まったく触れられておらず...。そこで自分なりに調べてみました。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

便は健康のバロメーターですよね。その人のその日の体調が、便の色や形状、臭いなどにダイレクトに反映されます。(詳しく知りたい方は、こちらの記事「体からの定期連絡 便が変だったら」をご参照ください)

特に便の色は普通、ざっくり言えば茶色ですが、詳しく見れば明暗の違いや、黄みがかっている、赤茶色、など様々です。また、良いとされている便は黄土色~明るめの茶色で、便秘でずっと大腸に溜まっている間に水分が抜けてカチコチになり、色はどんどん濃く、黒っぽくなります。(母乳やミルクだけ飲んでいる乳児は黄色~黄緑色の便になりますが、これは大人とはちょっと違う話。こちらをどうぞ)

記事では、緑色の便の原因として3つ紹介しています。(要約)

●食事や薬、あるいはウィルス性胃腸炎のような消化器系の病気から、胆液の中にある消化酵素が、排泄物のなかに存在するバクテリアや繊維とともに便の色を様々に変化させる。
●緑色、あるいは黄色と青色の着色料を口にした時、もしくは、ほうれん草やブロッコリーのような緑色野菜を食べ過ぎた場合、その色がそのまま便に緑色をつける。
●鉄分の取り過ぎによって、鉄分が完全に吸収されない場合、便を緑色にする。

しかし、私はもっと身近な行動が原因で、便が緑色になるのを経験上知っています。

それはブドウジュースです。

子供たちにブドウジュースを飲ませた翌日の便は、明らかに緑がかったカーキ色のような感じ。最初は私も「え? ウンチが緑色ってどういうこと? 大丈夫なの?」と心配しましたが、子供たちはケロッとしています。それどころかウンチが出てスッキリ、すがすがしそうな顔。元気ならいいでしょ、とやり過ごしているうちに、どうやらブドウジュースの翌日は、緑色のウンチが出る、と分かってきたのです。

でも、単純に不思議! だってブドウジュースは紫色。便が赤っぽかったり黒っぽかったりするなら、すんなり理解できます。でも、便は緑色。どういうこと? と、思いつつ、病気でもないし、毎回すぐに忘れてしまって放ってありました。

そこに出てきたのが今回の記事。当然、ブドウジュースのことが書いてあるかと思ったのですが、ブドウのブの字も見当たりません。そうなるとかえって気になってしまって、数年越しの疑問にようやく向き合うことにしたのです。

まず、ブドウの皮に含まれる色素と言えば、ワインで有名なポリフェノール。ただ、ポリフェノールは総称なので、もうちょっと掘り下げてみると、アントシアニン、ケルセチン、レスベラトロール、ルチンなど複数の種類があることが分かりました。

このうち、一番よく知られているのが、「アントシアニン」ですよね。ブルーベリーなどに多く含まれる赤紫~青っぽい色素。目に良いhttp://hfnet.nih.go.jp/contents/detail711lite.htmlとして、サプリメントもバンバン売られています。

調べてみると、いきなりビンゴ!! どうやら、便が緑色になる原因は、このアントシアニンのようです。と言うのも、アントシアニンは、酸性~中性~アルカリ性というpHの変化に伴って、グラデーション式に色が変化するのです。

そういえば、小学校だったかの理科の授業でやりましたよ。あの時はムラサキキャベツを煮出した紫色の水溶液に、お酢だの石鹸水だのを加えて色の変化を見ました。すっかり忘れていましたが、確かに、酸性では赤く、アルカリ性では緑色になりました! 試験管に入った様子をおぼろげながら覚えています。

じゃあ、ウンチはアルカリ性なの? 

そう思いますよね? これについては、

便が酸性かアルカリ性かは、腸内に棲みついた細菌の種類によって変わり、いわゆる「善玉菌」が多いと酸性に、「悪玉菌」が多いとアルカリ性に傾きます。穀物、豆類、野菜類など糖類や食物繊維を多く摂取すると善玉菌が増え、肉など動物性たんぱく質や脂質を多く摂取すると悪玉菌が増えます。

(以上、「体からの定期連絡 便が変だったら」http://lohasmedical.jp/archives/2009/07/post_68.phpより)

しかも、腸液はアルカリ性なんだそうです。(ああ、それで「生きて腸に届く」乳酸菌やその食品であるプロバイオテクスがもてはやされるのか、と納得。腸内細菌はアルカリ性の環境に棲むものなので、普通に口から摂っても腸の手前の胃で、強い酸性である胃酸にやられてしまうんですね)

ということで、意外とあっさり答えが出ました。ウンチが緑色になる、とっても身近な原因は、ブドウジュース!(きっと赤ワインも)ということ。我が子たちは体が小さいのでタンパク質を多く摂らせようと、どうしても肉や魚中心の食事になっていますし、野菜嫌い。それに、グレープジュースが大好きですし、せめてと思って飲ませる野菜ジュースも紫野菜やブドウ果汁が入っているものをよく選びます。腸内がアルカリ性に傾いているところへ、ブドウジュースが注がれて、アントシアニンが緑色になるんですね。

なお、ブドウジュースや赤ワインをたくさん飲んだ覚えもないのに緑色、と言う場合は他に原因があるわけで、その場合は便の状態や体調など、総合的に異常・正常を判断すべきと言えそうです。

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