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定期的な運動は認知機能にプラス

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●結果

 活動の水準が高いことと認知能力が優れていることは関連があった。長期間における身体活動がより高い水準にあるのに伴って、認知力測定の平均得点も高くなるという統計的に有意な傾向があった。六つのテストすべての結果を合わせた全体的な得点で、エネルギー消費量のやや低い群から高い群までの4群は、最も低い群に対して、それぞれ0.06、0.06、0.09、0.10標準単位高かった(P<0.01)。身体活動における最も低い群と比較すると、最も高い群は認知障害の危険度が20%低いことが分かった。ゆっくりペースで週に最低1.5時間歩いている人は週に40分未満の人と比較して、平均全体得点が0.06から0.07標準単位高かった(P<0.03)。より活動的な女性ほど認知力低下が少ないことも分かった。特にエネルギー消費量の上位2群では、やや高いが0.04(信頼区間95%、0.02~0.10)、高い群が0.06(信頼区間95%、0.02~0.11)標準単位、最も低い群よりも全体得点における平均変化が良かった。

 今回の研究で、長期にわたる定期的身体活動の水準がより高いほど、認知機能の水準もより高く、認知力低下の程度がより少なくなるという強い関連性を見出した。特に、身体活動と認知機能の関連性は、活発な活動を行った女性に限らず、1マイルを21分から30分の普通の速度で1週間あたり最低1.5時間歩いた場合でも、より優れた認知力と関連することが分かった。

●考察

 いくつかのメカニズムが身体活動と認知機能の関係を説明する可能性がある。身体活動は、血圧を下げ、リポ蛋白プロフィールを改善し、内皮一酸化窒素産生を促し、適度な脳潅流を保証することにより、脳血管の健康状態を支えているかもしれない。同様に、インスリンとアミロイドβの関係という新生エビデンスは、アミロイドβプラークはアルツハイマー病の顕著な病理的特徴であるというもので、有酸素運動のインスリン抵抗性やグルコース不耐性に対する効果がまた別のメカニズムであるかもしれず、それによって身体活動が認知力低下を予防あるいは遅らせるかもしれないことを示している。身体活動が直接的に脳に影響を与えるということもあり得ることで、潜在的にニューロン組織を保護し、神経線維・シナプス・毛細血管の広がりを促進するのかもしれない。ウォーキングを含めて、より高い水準での身体活動は、より優れた認知機能、およびより少ない認知力低下と関連がある。活動水準のより高い女性とより低い女性間で観察された認知力の差は、2~3歳の年齢差がある女性間で見られた認知力の差と同じ大きさであることが、今回のデータから示された。

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