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栄養の過剰と欠乏

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。


バランスのよい食事と鉄、カルシウム、亜鉛、葉酸

 少し理屈っぽいことを述べてきました。理屈は結構、どうしたらいいか教えろ、とお思いかもしれませんね。
 結論から申し上げれば、偏食せず様々な種類の食材を使って太らない程度の食事量を心掛ければ、現代日本ではそんなに問題は起きないはずです。くよくよとストレスに感じる必要はありません。後述するように、食事は心の健康とも絡んできます。
 ただし、バランスのよい食事をしていても、なお日本にいると欠乏しがちなビタミン、ミネラルがいくつかあります。土壌の中に含まれる量が元々少なく、食材中の含有量も少なくなるなど理由があるので、そこは受け入れて対応するしかありません。それがカルシウム、鉄、亜鉛、そして葉酸です。
 カルシウムは、ご存じのように骨や歯の材料となるほか、筋肉の収縮の制御や神経の興奮を鎮める際に使われます。足りないと骨や歯からどんどん血液中に溶け出して使われるため、骨粗鬆症ひいては骨折につながりかねません。脚の骨折と寝たきりとの因果関係は強いので、寝たきりを未然に防ぐという意味でも十分に摂取する必要があります。乳製品や小魚に特に多く含まれています。
 鉄は、血中で酸素を運搬するヘモグロビンの材料などになります。足りないと鉄欠乏性貧血(06年3月号参照)になります。特に日本人女性は貧血の人の割合が高く、妊娠を考えている場合など予め対処しておく必要があります。レバーや貝類などに多く含まれていますが、既に貧血になってしまっている場合、食事だけで補うのは不可能に近いので鉄剤の処方を受けるとよいでしょう。医師に相談してください。
 妊娠初期、胎児の発育に大変重要な役割を果たすのが葉酸です(09年1月号「妊娠の心得」特集参照)。十分な野菜の摂取を心がけ、上乗せにサプリメントなども使って不足しないように気をつけましょう。
 亜鉛は、体内の酵素の材料になったり細胞分裂を助けたりします。不足すると成長障害や食欲不振、味覚障害、うつ、生殖障害などを招きます。
 ここで「うつ」が出てきたので、おやっと思った方もいることでしょう。そうなんです。先月号で特集したように、心の病の中には神経伝達物質の過不足によって起きるものも少なくありません。偏食などで神経伝達物質の材料が不足した場合、思いもよらない症状となって現れることがあります。心の疲労や異変を感じたら、食事がちゃんと取れているか見直してみることも大切です。
 なお、スナック菓子やインスタント食品、ファストフードなどを好んで食べる方の場合、どうしても脂質や塩分が過剰になりやすく、ビタミン・ミネラルが不足しがちです。なぜならば、それらの食品は商業上の理由で、繰り返しの摂取を呼ぶよう、本能の喜ぶ味付けになっているからです。そして、そのような味付けに慣れると、食材本来の味をおいしいと思えなくなり悪循環を招きます。
 旬のものを適量おいしくいただく、そんな生活を日々心がけたいところですね。

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