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栄養の過剰と欠乏

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

45-1-1.JPG 医食同源という言葉があるのは、昔から、食事の大切さが体得されてきたからでしょう。
その大切さは現代でも変わりません。
監修/加藤悦子 虎の門病院管理栄養士
   久住英二 ナビタスクリニック立川院長

エネルギー過剰

 今回は、食事などで摂取するものの過不足によって引き起こされる病気を見て行きます。私たちは食事を通じて栄養を取り込み、体の材料やエネルギーなどを得ているわけですが、その栄養は大きく5種類に分類されます。①たんぱく質②脂質③糖質・食物繊維④ビタミン⑤ミネラルです。
 前3つ(食物繊維を除く)は、直接エネルギー源になったり体の材料になったりします。ビタミン、ミネラルは、前の3つが体内で正常に利用されるのを助ける働きがあります。
 前3つと後ろ2つとでは性格が異なり、生活の中で注意すべき点も異なるので便宜的に分けて考えることにします。
 さて、野生の動物を観察してみると、四六時中食物を探しているはずです。自然界では、安定的に十分な食料にありつけるのは稀で、下手すると飢死してしまうからです。
 同様に人類の歴史上も、食事が原因で病気になるといった場合、毒を食べるのでもない限り、必要なものが十分に摂取できていないか、材料やエネルギー源として質が悪いといった「欠乏」の方が問題でした。そして、そのような欠乏に耐え子孫を残してきたご先祖様のお陰で、私たちが存在しています。
 ところが20世紀後半から先進国で、人類がいまだかつて経験したことのない「飽食の時代」に突入しました。「欠乏」ではなく、「過剰」という新たな問題が生じたのです。欠乏への対応を研ぎ澄ませてきた身体は順応できず、生活習慣病に代表される様々な問題が起きてきました。流れは新興国にも引き継がれ、今や「欠乏」よりも「過剰」が問題という国も少なくありません。
 この「過剰」という新たな敵に対して、私たちは苦戦中です。相手として手ごわい理由は、脳が「欠乏」を本能的に不快と感じるようにできていて、「豊かな食」に快感を覚えるようになっているから。つまり、私たちの本能は、欠乏を正しく敵と認識できるのに、過剰は味方と勘違いしてしまうのです。
 欠乏の時代には「食べたいものを食べたいだけ食べる」「食べられる」ことが健康につながっていたのに、今は「食べすぎて健康を害する」ことになっています。ご先祖様を生き永らえさせてきた本能がかえって逆効果に働いてしまう以上、理性で頑張るしかありません。
 食べ過ぎが悪いのには、代謝の過程で消化器に負担がかかるとか、活性酸素を過度に発生させ体を錆びつかせるとかいくつかの理由がありますが、今最も問題になっているのはエネルギー過剰です。一般的に使われている言葉で表現するならばカロリー過剰です。

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