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カテゴリー「認知症」の記事一覧

 前回お伝えしたAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)のオーストラリア版とも言えるAustralian Imaging, Biomarkers and Lifestyle(AIBL)加齢研究からの研究結果です。60歳以上の認知正常者・軽度認知障害者・アルツハイマー病患者の3群で、アミロイド沈着と認知機能や脳容積との関係を調べたところ、認知正常者でも3分の1程度の人ではアミロイド沈着が多くなっており、早期に状況を把握することの重要性を示す結果となりました。

Amyloid imaging results from the Australian Imaging, Biomarkers and Lifestyle (AIBL) study of aging
Rowe CC, Ellis KA, Rimajova M, Bourgeat P, Pike KE, Jones G, Fripp J, Tochon-Danguy H, Morandeau L, O'Keefe G, Price R, Raniga P, Robins P, Acosta O, Lenzo N, Szoeke C, Salvado O, Head R, Martins R, Masters CL, Ames D, Villemagne VL.
Neurobiol Aging. 2010 Aug;31(8):1275-83. doi: 10.1016/j.neurobiolaging.2010.04.007. Epub 2010 May 15.

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 米国を中心に進められているAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI)という研究において、認知正常者と軽度認知障害者を対象にアミロイド沈着と日常生活関連動作障害との関係を、ピッツバーグ化合物B(PiB)という造影剤を用いた陽電子放射断層撮影(PET)で調査したところ、軽度認知障害者では脳内のPiB滞留がより多くなっており、日常生活関連動作障害の大きさと関連あることが分かりました。

Instrumental Activities of Daily Living Impairment Is Associated with Increased Amyloid Burden
Gad A. Marshall, Lauren E. Olson, Meghan T. Frey, Jacqueline Maye, J. Alex Becker, Dorene M. Rentz, Reisa A. Sperling, Keith A. Johnson, and Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative
Dement Geriatr Cogn Disord. 2011 August; 31(6): 443-450.
Published online 2011 July 20. doi: 10.1159/000329543

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 今回もホノルル・アジア加齢研究からの報告です。前身のホノルル心臓プログラムで中年期における危険因子評価をされた対象者が、25年後に認知症を発症するリスクと健康的な生活様式との関連調査を受けました。喫煙しないこと・標準体重であること・身体的に活発であること・健康的な食事を摂取することすべてが揃うと、認知症リスクが大きく低下することが分かりました。

Lifestyle and the Risk of Dementia Among Japanese American Men
Rebecca P. Gelber, MD, DrPH, Helen Petrovitch, MD, Kamal H. Masaki, MD, Robert D. Abbott, PhD, G. Webster Ross, MD, Lenore J. Launer, PhD, and Lon R. White, MD, MPH
J Am Geriatr Soc. 2012 January; 60(1): 118-123.
Published online 2011 December 28. doi:10.1111/j.1532-5415.2011.03768.x

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 今回もホノルル・アジア加齢研究からのた報告です。足関節・上腕血圧指数が低く、末梢動脈硬化と考えられる場合、認知症全体および血管性認知症リスクが高まること、アポリポ蛋白Eε4対立遺伝子保有者では、アルツハイマー病リスクも高まることが分かりました。

Ankle-to-Brachial Index and Dementia
The Honolulu-Asia Aging Study
Danielle Laurin, PhD; Kamal H. Masaki, MD; Lon R. White, MD, MPH; Lenore J. Launer, PhD
Circulation.2007; 116: 2269-2274 Published online before print October 22, 2007, doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.106.686477

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 今回も、高脂肪・高ショ糖食が脳に与える影響についての話です。前回から"おあずけ"となっていた、高脂肪・高ショ糖食のせいで私たちの脳や体でどんなことが起きて、どう具体的に問題が起きてくるのか、という一番気になる部分に踏み込みます。

※今回は担当の堀米がインフルエンザにかかったために更新が遅れました。お詫び申し上げます。

大西睦子の健康論文ピックアップ26

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

 前回と同じホノルル・アジア加齢研究において、中年期での血圧構成4要素(収縮期血圧・拡張期血圧・脈圧・平均動脈圧)と晩年期での認知症リスクを調べたところ、最大の予測因子は収縮期血圧であり、脈圧は収縮期血圧以上にリスク情報を提供することはないとの結論が出ました。

Midlife Pulse Pressure and Incidence of Dementia
The Honolulu-Asia Aging Study
Michael H. Freitag, MD, MPH; Rita Peila, PhD, MS; Kamal Masaki, MD; Helen Petrovitch, MD; G. Webster Ross, MD; Lon R. White, MD, MPH; Lenore J. Launer, PhD, MSc
Stroke. 2006; 37: 33-37 Published online before print December 8, 2005, doi: 10.1161/01.STR.0000196941.58869.2d

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 ハワイの日系アメリカ人男性を対象とした研究で、アポリポ蛋白A1濃度と認知症リスクとの関連、アポリポ蛋白Eε4遺伝子の有無と認知症リスクとの関連、両方の危険因子を組み合わせた場合のリスクを調べたところ、アポリポ蛋白A1濃度が低くアポリポ蛋白Eε4遺伝を保有している場合は、どちらの危険因子もない場合と比較して5倍近くリスクが高まることが分かりました。


The Relation between Apolipoprotein A-I and Dementia
The Honolulu-Asia Aging Study
Jane S. Saczynski, Lon White, Rita L. Peila, Beatriz L. Rodriguez, and Lenore J. Launer1
Am. J. Epidemiol. (2007) 165 (9): 985-992. doi: 10.1093/aje/kwm027 First published online: February 13, 2007

川口利の論文抄訳


発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

HbA1cと認知症の関係

 英国で、糖尿病の診断に用いられるHbA1c値と死亡率や認知機能などとの関連を調べたところ、自己申告による糖尿病歴はないもののHbA1c値が糖尿病診断基準となる7%以上の場合、かなり有意に認知症リスクが高まることが分かりました。論文全体から、HbA1c値と死亡率・認知症に関連する部分をお伝えします。

An investigation of the population impact of variation in HbA1c levels in older people in England and Wales: From a population based multi-centre longitudinal study
Lu Gao1*, Fiona E Matthews1, Lincoln A Sargeant2, Carol Brayne2 and MRC CFAS3
BMC Public Health 2008, 8:54 doi:10.1186/1471-2458-8-54

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

 前回と同じカナダの研究から、少し後で発表された論文をご紹介いたします。アルツハイマー病の危険因子を幅広く調査したところ、加齢・教育水準の低さ・アポリポ蛋白E4対立遺伝子保有がリスクを上げること、関節炎・非ステロイド系抗炎症薬使用・ワイン摂取・コーヒー摂取・定期的な身体活動がリスクを下げる可能性のあることが分かりました。

Risk Factors for Alzheimer's Disease: A Prospective Analysis from the Canadian Study of Health and Aging
Joan Lindsay, Danielle Laurin, René Verreault, Réjean Hébert, Barbara Helliwell, Gerry B. Hill, and Ian McDowell
Am. J. Epidemiol. (2002) 156 (5): 445-453. doi: 10.1093/aje/kwf074

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

高脂肪・高ショ糖食と認知障害

 脂肪は砂糖の摂り過ぎは肥満に直結するものですが、「私は太らない体質だからたくさん摂っても大丈夫」という人もいらっしゃるかもしれません。でも、コトはそう単純ではないのです。太りにくい人でも、脂肪と砂糖の摂り過ぎは"脳"に悪影響と聞いたらどうでしょう・・・。

大西睦子の健康論文ピックアップ25

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

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