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終末期を考える時、救急車をどうするかも考えよう
東日本大震災後、「終活」や「エンディングノート」といった言葉がよく聞かれるようになり、自分や家族の最期について元気なうちから考えていこうという雰囲気が出てきている。最期について考える時、必ず出るのはどこまでの医療を求めるか、という話だ。
ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵
医療をどこまで行うか、というと
・呼吸ができなくなった時に人工呼吸器をつけるか否か
・食べられなくなった時に別の栄養摂取の手段(胃ろうや点滴など)を望むか否か
・心臓が止まった時に、心肺蘇生を行うか否か、
などの選択肢が出てくる。しかしこれらも大雑把な括りであり、いくらでも細かくできる。おまけにその時の状況、個人、家族によって何がより良い選択なのかは変わってくるため、前もって選んでおくというのはかなり困難だと思う。そもそも、人の気持ちなど数分後に変わっていたりするものなので、難しい。
このような記事があった。
最近は救急車で終末期の高齢者を搬送することが増えてきたため、救急隊員らがこの現状にどう対応していくかという問題が出てきているということだ。
救急隊、救急救命士は一般市民からすると「なんとなく医療職」というイメージがかもしれないが、彼らは許された医療行為しか行うことができない公務員だ。管轄は総務省消防庁になるため、厚生労働省に管轄される医療職と色々な意味で立場が異なる。地域によって消防機関と医療機関の連携にはかなり差がある上、高齢社会に対する消防機関の意識の差も大きい。
大切な家族の最期が迫ってきたときには、救急車を呼ぶのか、どういう時には呼んで、どういう時に呼ばないのかを話し合っておいた方がいいと思う。また救急隊員に渡す情報についても主治医らと相談し、まとめておくといいだろう。
個人的には、先述したような細かい項目について考えるというより、普段からそういうことを話し合っておくことが大切だと思う。自分の家族がどういう考え方をしているのか、こういう場面ならこういう選択をしそうだ、こういうことは嫌がりそうだ、といったことを想像できるぐらいに話し合っておくことが大事だと考えている。もちろん、それはとても難しいことなのだけれども。
最期について話し合う時、今注目されているのはACP「アドバンス・ケア・プランニング」(ロハス・メディカル2014年11月号より)という考え方。カタカナでちょっとよく分かりにくいと思うが、なかなか考えづらい終末期医療について考えるいいとっかかりになると思う。
広島県はACPの取り組みが進んでおり、パンフレットも分かりやすいのでぜひどうぞ。
「もしもの時のために伝えておきたいこと Advance Care Planning(ACP) ACPの手引き」
「もしもの時のために伝えておきたいこと Advance Care Planning(ACP) 私の心づもり」