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国に頼らない政策の動かし方

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 昨日に引き続き『現場からの医療改革推進協議会 第7回シンポジウム』セッション8のご紹介。討論部のエッセンスです。国へ陳情に行こうかと考えている方は、ぜひお読みになることをおススメします。(堀米香奈子、川口恭)

細部千晴(細部小児科クリニック院長)
 一般の町医者がこうやって困っているんですという話を小児科医会や小児科学会でして、それを提言として大臣クラスに伝えているのに、この国では何も変わらないというのを本当に不思議に思っています。三井大臣も「やります。予防接種法を変えていきますよ」とおっしゃって、厚労省も大丈夫ですと言っても、結局は財務省など他の部署との調整をしたのが日本小児科医会の会長だったりして、それでもきちんと根回しをしてくださって、それでも何も変わらない。医師たちが声を上げていても、国民の皆さんが何も言っていなければ、行政は動いてくれないわけです。

吉川恵子(「希望するすべての子どもたちにワクチンを!」パレード実行委員長)
 土屋先生にもHPVの導入の際に色々な方々と精力的につながりあって制度化されていったことを伺いました。こういう事態の時はどうしたらよいでしょうか。

土屋了介(がん研究会理事、元国立がんセンター中央病院病院長)
 今すぐに具体的には出て来ないですが、あらゆる方向にアンテナを巡らせて、それをつなげてネットワークを作らねばならない。それをどうみんなの広い声として訴えていくか。HPVが成功したのは、当時、電通の成田名誉会長が、たまたま私の患者になったんですね。彼が仁科明子さんをセットアップしてくれた。そうやって何か仕掛けをやっていくこと、国民の声だっていうフリでもいいからして、国会に持っていかないとね。

上昌広(東大医科研特任教授)
 3~4年前のこの協議会に国会議員が押し寄せて人が入りきらないくらいになりました。理由は簡単で、仙谷さんが来ていたから。「俺は仙谷さんに会いたいんだ」というような議員がたくさん来ていた(笑)。当時は与野党が入れ替わったばかりだったので予算を仕切れたんです。子宮頸がんワクチンは、あの時の話。

 ただ、あの時の我々の教訓は、与野党ひっくり返しても医療費つまり診療報酬は200億円しか増えなかったこと。これはあかんと。それで次には、子育て手当てを流し込まないと、と言って、GSKなど様々なメーカーが頑張ったんです。もう一つは、成田市や浦安市など、金持ちの自治体に行きました。彼らは率先してやりますから。というのは、今は政府には金がない。頼んでもできっこないんで、政府がお好きな方は行かれたらいいんですが、費用対効果がめちゃくちゃ悪いんですね。

 で、この1~2年、今なら神奈川県庁、もっと厳密に言えば神奈川県知事に行ったらいい。というのは、今度のポリオは黒岩さんがやったんです。面白い経緯があって、彼は個人輸入を知事になって最初の目玉としてやることにしたんだけれども、どこかでリークがあって、全国版でなくて神奈川版で出ちゃった。あちゃーと。どうやって盛り返したかというと、当時の厚労大臣が「神奈川県けしからん」と言ってくれたんですね。勝手なことしたら処分するぞ、って。で、一気にブレイクして、すべてのメディアが飛びついた。重要なことは、国民が知ったら、おかしいことは「おかしい」と言い出すんですね。そうしたらわずか数カ月で承認しちゃって。

 政府にこんなこと言っても、厚労省にいくら言ってもしょうがないんです。やれるものならやってる、って。彼らのレベルが高いか低いかは別として。財務省に言ってもないものはないんです。生活保護手当てを切ってる横で、ポリオの予防接種にお金がつくわけがないんです。それと同じ感覚で、たぶん自民党が政権とっても財源増えないので、同じなんですね。

村重直子(東大医科研特任研究員、元厚生労働省大臣政策室政策官、医師)
 今、小児医療を無料で提供している自治体はかなりたくさんあります。その財源を任意接種の費用に回すというのが、小さなポイントではありますが、現場の現実路線の話として考えられると思います。

 今の状況は、任意接種はかなり費用がかかる、でも病気になった後に医療機関に行けば無料で診てもらえる、ということで、お母さんたちに「ワクチンは受けなくてもいいよ、その代わり病気にかかってから病院に行けばタダで診てあげるよ」という間違ったメッセージになっています。一方で、その病気に対して治す方法(特効薬等)が実はないんだ、しかも、ともすれば命を落すかもしれない、ということが伝わっていない。

 乳幼児の医療費を無料にする財源が今あるのであれば、それをワクチンに回すことは、それぞれの自治体の中でそれぞれ方針を立てながら出来ること。吉川さんもあれだけのデータを集めるパワーがあれば、それくらいできることだと思うので、ぜひ頑張ってみていただきたいです。

宇都宮高明(成田市議会議長)
 そうですね、今、上先生がおっしゃったように、ないところに行ってもしょうがない。なぜかと言うと、地方分権一括法とかいう良い名前で言われますが、あれは国に金がなくなったから地方でやれ、という、これはもう間違いない。成田は国家がお金を切ろうと、ワクチンのお金を有料にすることはしないと思いますが、そのように、やれるところで突破口を見つけるというのが、これからのスタイルだと思います。やれるところは手をつけるという形で、政策のどこかの切り口を見つけていく、という必要性はあるかと思っています。

細部
 財源のお話が出ていましたので付け加えますが、日本小児科医会で、小児保健法の制定に向けて動いていますが、その中で予防接種の無料化と言う言葉が入っています。それから、社会保険の方でやっていったらどうか、という話も、そのように動いていったらいいかと思います。

鈴木寛(参議院議員)
 法律制定については全面的に頑張ります。頑張りますけれども、ここは現実的にお話をした方がいいかと思います。

 「予防接種の無料化」と我々が法案に書きますよね。そうして議員立法で、自ら書いて法制局に手伝わせてやること、そこまでは可能なんですよ。しかし、いよいよ財務省折衝という段階で、「無料化に"努める"あるいは"努力する"」という文言が入るんですよ。それを入れるんだったらOKです、というわけです。で、ないよりあった方が予算折衝の段階で、おおいに、おおいにプラスなので、そこで手を打って超党派で通す、というところまではできます。しかし最後は予算折衝という話になっちゃうと。これが現実なんですね。

 その連続連続なので、やっぱり、メディアを味方につけることが非常に重要で、当時だったら仙谷さんと財務省の対決という構図が非常に面白かったので、これでメディアの注目も集まり、国民の支持も集まり、やることができました。医療費が13%増えたり、ということもできた、と。しかし残念ながら仙谷さんは今ややゴニョゴニョ(聞き取れず)なので。

そういう意味では黒岩さんは自ら予算編成もできるし。これはオセロと同じで、文京区がやり、どこそこがやりと23区のうち12区までがやったら、一気に残りの11区はひっくり返ります。だから今5だったら、残り6、7、8・・・10をどうやっていくのか、これは個別撃破した方がいい。

 一方で、区の運動はどうなったかというと、上先生が有志の区議会議員の勉強会をやり続けている、と。特に市部なんかはもう5年くらいやり続けている。1回、間に選挙を挟んで、その時の公約にも掲げている。それをとにかく毎議会、毎議会やり続けることで、今、ゼロが3まできた。これをあとどうやって7にしていくかという議論になるが、これは財政力のある区、あるいはきちんと費用対効果の分析力がある区をターゲットに決めて、そこで一番賢そうな区議会議員を見つける、と。要するに上君の言うことをちゃんと理解できて、なおかつ5回10回と勉強会にちゃんと参加する議員を見つける。政治家は通常、頭だけ来て上先生の名刺をもらって写真だけ撮ってあとは帰る、逃げますからね。だからそうではなくて、最後までちゃんと授業を聞き続けると。ここに鈴木けんぽう君という渋谷区の区議がいますが、彼はきちんとやったからこそ今、渋谷区はああなっている。

 こういう運動を、もうあと固有名詞で勝負するしかない。一般論はもういいんですよ。(後略)

 この討論のほぼ全文は、こちらをご覧ください。

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