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何が起きているのか、調べるべきでしょう

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同時接種 是か非か9

北里大学北里生命科学研究所所長 中山哲夫

 同時接種は、世界的な流れです。確かに、子どもたちの健康を守るために出来るだけ多くのワクチンを適切なタイミングで打つには必要でしょう。しかし昨年、ヒブと肺炎球菌ワクチンの同時接種後に赤ちゃんが死亡する事故が相次いだことは、ワクチンを作る側にいる身としてどうしても軽視できないのです。

 北里研究所では何十年来、ワクチンを開発・製造し、市販後調査を続けてきました。インフルエンザワクチンを含む販売数は、累計2億本に達しています。その間、接種後1週間以内に死亡例が続く現象は、1度も経験していません。

 今までになかったことが、現実として起きている。ところが、副反応か否かきちんとした調査もなしに死亡事故は"紛れ込み"と判断され、同時接種は再開されました。従来なら、死亡に至らないケースでさえ綿密な調査が行われてきたのに、その後も死亡例が報告される中、「外国のデータと比べても特別高い割合ではない」として同時接種が続けられています。

 その「外国のデータ」は、同時接種後の死亡を「10万人に0.2~0.5人」としています。さほど多くないように聞こえるかもしれませんが、しかし言い換えれば、毎年生まれてくる100万人の赤ちゃんのうち数名が命を落とす計算です。

 そもそもワクチンというのは、体の中に病原体と認識されるものを入れて自然免疫系に刺激を与え、情報伝達物質(サイトカイン)を誘導して免疫応答を起こさせるものです。つまり一定の頻度で副反応は起こりうる、ということで、発熱程度は当然なのです。ただそれでも、ワクチンの組み合わせによってサイトカインの誘導能は違ってきます。にもかかわらず科学的根拠なく組み合わせて打っているのが、同時接種の現状です。

 それで副反応が少々強まるくらいは問題ないものの、突然死となると話は別です。今のやり方でも通常は安全なはずなのですが、遺伝的にサイトカインの過剰反応を起こす子供が100万人に数名いるのかもしれません。逆に、どんな子供でも安全なワクチンの組み合わせもあるはずです。
 
 実際、DPTとヒブの同時接種は、臨床試験でも安全と判断されています。一方、肺炎球菌ワクチンはサイトカインの誘導能が高いため、単独接種が無難かもしれません。ロタは免疫の働く場所がこれらと異なるため、組み合わせはあまり気になりません。

 同時接種を進めるにあたって「外国で大丈夫だから」という理由は科学的ではありませんし、「スケジュールが大変だから」というのも理論的ではありません。今あるエビデンスに基づいて組み合わせを工夫しつつ、接種後の死亡例については適切に調査し、安全な同時接種を追求していくべきではないでしょうか。

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