全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。

ダイエット飲料はうつ病の原因?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ダイエット甘味料は肥満の原因になる?という話を以前紹介しましたが、さらに驚く研究成果が報告されたそうです。よかれと思ってあえて摂っているダイエット甘味料が、体にとって逆効果であるばかりか、心まで蝕む可能性があるというのです......。

大西睦子の健康論文ピックアップ24

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

 このほど、「甘い飲み物、特にダイエット飲料は、成人のうつ病のリスクの増加に関与する可能性がある」という研究報告が米国国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)のチェン博士らによってまとめられ、先日1月8日に公開されました。この研究成果は、今年3月16〜23日に米国サンディエゴで開催される学会、「第65回American Academy of Neurology」で発表される予定です。

 ところが、学会発表前の公開直後から、この報告に対して多くの議論が始まりました。今回は、チェン博士らの報告内容とその議論についてご紹介させていただきます。

 この研究は、50~71歳の中高年者、約26万4千人を対象とし、1995~1996年の1年間、ソーダ(炭酸飲料)、紅茶、フルーツパンチ(果汁入り炭酸飲料)、コーヒーなどの飲料の消費について評価しました。その約10年後、研究者らは、対象者が2000年以降にうつ病と診断されていたかどうかを調査しました。結果、合計約1万1千人が、うつ病と診断されていました。

 1日あたり4缶あるいは4杯以上のソーダを飲んだ人たちは、飲まなかった人たちに比べて、うつ病を発症する可能性が30%も高くなりました。1日あたり4缶のフルーツパンチを飲んだ人たちは、飲まなかった人たちに比べて、うつ病を発症する可能性が38%も高くなりました。一方、1日あたり4杯のコーヒーを飲んだ人たちは、コーヒーを飲まなかった人たちに比べて、うつ病を発症する可能性が10%低くなりました。

 うつ病の発症リスクは、加糖ソーダよりもダイエットソーダを飲んだ人たち、加糖フルーツパンチよりダイエットフルーツパンチ、そして加糖アイスティーよりもダイエットアイスティーを飲んだ人たちに、高い傾向がありました。

 研究者らは、糖類※1の入った飲料やダイエット飲料※2の摂取を減らし、無糖コーヒーに置き換えると、うつ病のリスクを自然に減らす可能性があることを示唆しました。さらに、チェン博士は、この知見を確認するために今後より多くの研究が必要とされること、うつ病の人たちは医師による投薬を継続する必要があることを述べています。

 こうしたチェン博士らの研究結果に対して、米国飲料協会(American Beverage Association)は、「この報告は、査読※3を経た学術論文ではありません。科学的証拠なしで、時期尚早で、無責任な知見を促進します」といった内容の声明を発表しました。

 この研究は疫学調査※4ですから、分子的メカニズムは分かりません。また、飲み物のその他の物質が、うつ病発症に影響を及ぼしている可能性もあります。さらに、学会の抄録であって論文になっていないので、確かに科学的には未熟な報告とも考えられます。ただし、学会はたくさんの科学者が集まり、新しい知見を議論する場ですから、この結果が議論されるのは科学の新たな前進につながると思います。3月の学会当日は会場がいっぱいになり、激しい議論が繰り広げられることでしょう。また、この結果が論文化されることも期待されます。

 今回の報告を踏まえると、糖類の入った飲料やダイエット飲料などのいわゆる清涼飲料を毎日飲み続けることは控えた方がよさそうです。私も甘いものは大好きです。甘みは幸せな気分にしてくれますよね。でも、糖類の摂り過ぎは依存につながる(いわゆる"砂糖中毒"※5)とも言われていますから、注意が必要ですネ!

 ところで、「Western diet」という言葉をご存知でしょうか?ここでの「diet」という単語は、日本語のいわゆる「ダイエット」、つまり食事制限や減量という意味ではなく、食事とか食生活という意味です。直訳すれば「西洋食」。どんな食事を想像されますか? 「最近は、食生活の欧米化に伴い、肥満、脂質代謝異常※6、高血圧、糖尿病などが増えている」なんて話題をよく聞きますよね。「Western diet」は、飽和脂肪酸※7や精製された炭水化物を多く含む食事です。ハンバーガー、ステーキやポテトなどの食事が目に浮かぶ方も多いと思います。最も典型的なのが、ファーストフードや加工食品です。

 たくさんの研究成果で、「Western diet」は肥満などの原因になるだけではなく、脳にダメージを与え、認知機能などに影響を及ぼすことがわかってきました。それは、大人だけではなく、子どもも同様です。

 それでは、それとよく対比される和食は、「Western diet」とは違って、本当に健康によいのでしょうか。和風の味がしていても、素材に飽和脂肪酸や精製された炭水化物を使用していれば、「Western diet」と同じことと思います。

 忙しいと、ついつい便利な加工食品やファーストフードに頼りがちですが、そんな時にはいつものコーラや炭酸飲料はやめて、野菜スープなどをセットで摂りたいものです。そして他の食事で、食物繊維やビタミンを多く含む新鮮な野菜、果物や全粒穀物、不飽和脂肪酸※8を多く含む魚などの、健康的な食品を摂取するように心がけましょうネ。

↓↓↓当サイトを広く知っていただくため、ブログランキングに参加しました。応援クリックよろしくお願いします。


1 |  2 
  • 「認知症 それがどうした!」電子書籍で一部無料公開中
  • Google+
  • 首都圏・関西でおなじみ医療と健康のフリーマガジン ロハス・メディカル
月別アーカイブ
サイト内検索