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カフェインでポジティブになる!

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 ロバスト・ヘルスではこれまでにもコーヒーに含まれるカフェインについての論文を紹介しています(そちらはネガティブな情報でした)が、今回は、カフェインが認知機能に与えるプラスの影響をご紹介します。

大西睦子の健康論文ピックアップ16

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

 コーヒーは世界中の人たちに愛される飲み物の一つです。コーヒーを飲むと、カフェインの作用で、目が覚めて元気になりますよね。今回は、そんなコーヒーの愛好家には、嬉しいニュースをお知らせします。

 カフェインは、法的に禁止や制限された薬物ではありませんが、脳神経系に作用します。適度なカフェインの摂取で、眠気や疲労感が回復し、集中力が高まり、頭痛も緩和します。しかし、習慣的に1日250mg以上のカフェインを摂取し続けると、慢性中毒(依存)※1になり、不安、疲労感、吐き気や頭痛などの症状が出現します。1日100mg程度、すなわちコップ1杯のコーヒーの摂取でも、依存が起こることがあるようです。さらに、一般的な成人で1時間以内に体重1kgあたり 6.5 mg以上のカフェインを摂取した場合は約半数が、3時間以内に 体重1kgあたり17 mg以上のカフェインを摂取した場合は100%の確率で、急性中毒を発症します。こうして、カフェインにはネガティブなイメージもありますよね。

 ちなみに、食品に含まれるカフェインは、豆から抽出したコーヒーが95mg/235ml(40mg/100ml)、インスタントコーヒーが62mg/235ml(26mg/100ml)、緑茶30−50mg/235ml(12-21mg/100ml)、紅茶47mg/235ml(20mg/100ml)、コーラ35mg/350ml(10mg/100ml)といわれています。ただし、お茶は、旨みの成分であるテアニンがカフェインの興奮作用を抑制します。さらにお茶の種類などによっても、カフェインの量は様々です。

 平成23年の食品安全委員会の報告では、海外のリスク管理機関等の状況をまとめ、悪影響のない最大カフェイン摂取量を、健常な成人で400mg/日(コーヒー マグカップ3杯(1杯237ml換算)と設定しています。現在、米国の成人の80%は平均1日あたり200-300mgのカフェインを摂っているそうです。

 これまでの研究で、認知機能に対するカフェインの効果が広範囲に調べられています。例えば、2010年の雑誌『Nutrition』に掲載されたMichael J. Glade博士のレビュー※2は、適度な量のカフェイン摂取は、エネルギーの増加、身体能力の向上、疲労減少、瞬発性の向上、認知機能※3の強化、集中力と短期記憶の向上につながることを報告しています。また、2011年の雑誌『Pharmacology Biochemistry and Behavior』ではCaroline R. Mahoney 博士らが、カフェインの摂取は新しい環境における情報や学習過程に影響を与えると報告しています。

 ところで、一般的に、感情的にポジティブな言葉は、ネガティブあるいは中立的な言葉に比べて、より早く、より少ない間違いで認識できることが理解されています。しかし、カフェイン消費量とこれらの関係は不明でした。今回、ドイツのルール大学ボーフムの研究者らが、単語の認識に対するカフェインの効果を検討しました。その結果、コーヒーを飲むと、脳がポジティブな意味合いの言葉を早く処理することがわかり、先週のPLoS ONEに報告しました。

Kuchinke L, Lux V (2012)
Caffeine Improves Left Hemisphere Processing of Positive Words.
PLoS ONE 7(11): e48487. doi:10.1371/journal.pone.0048487

 対象は、66人の平均24.3歳(19−32歳)の健常人です。対象者は無作為に、カフェイン摂取群(33人、うち男性9人)、プラセボ※4対照群=カフェイン非摂取群(33人、うち男性12人)に分類されました。全員右利きで、正常のカフェイン摂取量(1日平均1.58杯、範囲として0−8杯)です。試験開始12時間前は、カフェイン、ニコチン※5とアルコール摂取は禁止です。仕事の30分前に、プラセボコントロール群は乳糖※6の錠剤、カフェイン摂取群には200mgのカフェインの錠剤(コーヒー2〜3杯に相当)を投与しました。

 ポジティブな言語処理は、右視野と左脳に限られています。つまり、右目で見た情報が左脳に伝わって認識されます。一方、カフェインはドーパミン※7の分泌量を増やしますので、この両者の関係を引き出さなければなりません。研究者たちは、カフェインが、ドーパミンの分泌を促すことによって、ポジティブな言語処理をより早く、より正確に認識することを可能にすると仮説を立て、ポジティブな言語処理を行う左脳とドーパミン作動系の関係を直接的に調査しました。

 被験者は、あごをあご受けにのせ、スクリーンに直面して座ります。そして、スクリーン中央のスポットに焦点を当てていると、左目と右目どちらかの側に4~8字の文字列が光ります。そのうち半分は、感情的にポジティブ、ネガティブまたは中立なドイツ語の単語です。残りの半分は、ドイツ語に似たナンセンスな文字列です。被験者は、彼らが見ている文字列が本物の単語と判断したときは左のボタンを、ナンセンスな文字列と判断したときは、右のボタンを押します。テストは21分間、独単語150とただの文字列あわせて計300回、文字列が光ります。

 全体的に見ると、言葉が被験者の右目の前で光ったとき、優れた成果を発揮しました。以前の実験の、右目が左脳に投射している(右目の情報は左脳で処理される)という事実に基づくと、これは予想通りの結果です。ただし興味深かったことは、カフェイン錠剤を摂っていた被験者は、中立かネガティブの言葉よりも、ポジティブな言葉に対して有意に※8認識が高かったのです。

 今回の論文から、コーヒーを飲むと、ドーパミンの作用で、脳がポジティブな意味合いの言葉を早く処理できることが示唆されました。落ち込んだときに、適量のコーヒーやお茶を飲みながら、仲良しのお友達や家族と話をすると、きっと元気になれると思いますよ。もし、あなたが、お友達の立場なら、落ち込んでいる人には、お茶でもしながらポジティブな言葉をかけてくださいね。お友達も、前向きに元気になると思います。さっそく明日から、仕事場や学校で試してみて下さいね。

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