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献血の先にある大きな国際貢献

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。


やらずぶったくりを打破したい。
◆ヘモフィリア友の会全国ネットワーク 佐野竜介理事長

9月、この問題に関する記者セミナーが開催されました。「ヘモフィリア友の会全国ネットワーク」の佐野竜介理事長が講演した内容を、簡単にご紹介します。

98-t.5.jpg なぜ寄付を要望したかと言えば、まずは必要な製剤を分け合って、治療を受けられていない患者さんを救いたいという単純な発想。ちょうど私たちの年代が子どもだった時は製剤が満足になかった。同じようなことが今でも世界で起こっている。他人事ではないという気がする。

 もう一つ、情けは人のためならずというか、日本の血友病患者が使っている製剤の8割が輸入品。製剤の国内自給という掛け声はあるけれど、現実には国際的な凝固因子製剤の流通体制・供給体制に組み込まれてしまっている。そのような中で、海外のメーカーが途上国へ貢献している時に、日本だけ何もしないというのでは、これからの安定供給に支障が出ることは考えられないだろうか。日本だけ製剤をどんどん輸入して、外には出さないという状態は、言葉は悪いが「やらずぶったくり」なので、こういう状態を打破したい。製剤の将来的な安定確保のためにも、国際的役割を果たす必要があるだろうと考えている。

 なぜ日赤に要望したかと言えば、国内唯一の採血事業者であり、製剤メーカーへの原料血漿の供給者でもあるから。さらに人道的国際貢献活動を行う日本最大の非営利組織なので、国際貢献を行うのに一番ふさわしい団体であろうとも考えた。

 寄付の対象となる製剤のメーカーや種類は問うていない。また国内の余りを寄付してくれという言い方もしていない。献血による貴重な製剤を世界の人々と分け合って使いたいというのが、要望の趣旨。

 問題点としては、献血した方たちの理解を得られるのかということ、無償の献血が世界の人たちを救うのだと知らせることの重要性がある。そのためにも、WFHは、寄付された製剤がどのように使われたか非常にきめ細やかにフィードバックしてくださると聞いているので、そこに期待したい。

 また、制度的財政的課題をどうするか。今まで海外に出したことのないものなので、制度的には発想の転換が必要になってくる。また、今まで造っていた以上の製剤をメーカーは造らなければいけなくなるが、そのお金がどこから出るのかについて国のサポートが必要。また、援助対象の国々で急に血液製剤をきちんと造れるようになるとは考えられないので、ある程度の年数続けることが必要になってくる。それをクリアしなければならないと思っている。

 実現にあたって様々な困難はあると考えている。実際に製剤が海を渡るには5年以上かかる息の長い話になるだろう。お力添えをいただきたい。

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