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骨の髄まで気にして 骨量コツコツ多くして

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

大人が受けたい今どきの保健理科3

吉田のりまき

薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰

 背骨は体の中でずっと重力に逆らってしなやかにそびえています。長年その状態で他の骨と連携をとりながら私たちの好き勝手な動作に付き合ってくれています。義務教育では、小学4年生から関節の動きを学習します。寝たきりにならないよう若いうちから骨に関心を。骨身にしみるお話です。

骨格パズルに苦戦

 私たちは、子どもたちを対象に骨をテーマとしたワークショップをしています。

 最初に体のあちこちを各自触ってもらい、軟らかい所と硬い所があることに気づかせます。それから、なぜ硬いのかなと問いかけ、体の中で硬い部分には何があるのか、どうしてそこにあるのかを皆で考えてもらっています。

 そして、骨の総数を質問します。全部で206個あります。細かい動きが必要な手足には小さな骨が多いことや、骨が積み重なっていることでうまく曲がることのできる背骨の構造に気づかせます。

 その後で、骨のイラストを使ったパズルに挑戦してもらいます。関節を中心に12分割したものをグループに配ります。たった12分割だから簡単だと思われるのですが、その場にいる大人たちも必ず苦戦し、なかなか完成しません。

 肩から大腿骨が出ていたり、骨盤が上下逆さまだったり、左右が逆になったり。腹部には背骨しかないことに気づかず、肋骨と骨盤をくっつけてしまう大人もしばしばです。

 苦戦するのは、ある意味自然なことです。実は学校で全身の骨について丁寧に学習することはないのです。

骨の学習は部分的

 平成23年度から、人の体のつくりと運動は、中学だけではなく小学4年生の理科でも学習することになりました。骨と筋肉の働きで体を動かすことができることを、主に肘関節の動きを取り上げて学びます。中学2年では、骨は体を支え、内臓や脳を守ることにも触れながら、やはり関節を中心に動く仕組みについて学習をしています。

 他にも中学では背骨に関連した学習が増えます。熱いものを触った時に熱いと思う前に手を引っ込めますが、外界からの刺激に対してとっさの行動で身を守る「せきずい反射」を学ぶ時に、脊髄の説明図で背骨が出てきます。また、生物の分類や進化の単元で脊椎動物について学習します。「背骨のある動物をセキツイ動物という」と定義がされており背骨が出てきます。

 しかし、いずれも骨をパーツとして見るだけで、例えば背骨がどのような位置にあり、他の骨とどうつながって体を動かしているのか、といったことは特に学習しません。

 本当は、体の大黒柱である背骨と日常動作を関連づけることにより、骨格全体を考えやすくなります。「おばあちゃんの背中が丸くなって歩きにくくなった」「腰が痛くて振り返りにくい、かがみにくい」というような、子どもたちの周りで当たり前に見られる生活上の不具合と関連させて学習すれば、一層理解も深まると思います。

学んでほしい骨量

 一方、保健体育の教科書では、全身の骨格図が必ず巻末に出てきています。ルビが全部振ってあるのでややこしい骨の名前も読むことができます。教科の中身としては、骨折、脱臼、捻挫といった骨のケガが紹介されています。骨を丈夫に、という発達の啓発も少々入っています。

 ですが、骨にも血管があり、細胞があり、造っては壊し、壊しては造りを繰り返しているというようなことは、保健でも理科でも全く学びません。

 ちなみに、造るより壊す方が多くなると、骨がスカスカになり骨粗鬆症になります。このことは骨密度を意識するようになって初めて知る人も多いようですが、学校で教わらなかったとしても大丈夫でしょう。

 しかし、若い時に知っておかないと後で困りかねない情報もあります。それは骨量のことです。

 読者の中には骨粗鬆症を意識されて骨密度を測定している方もいらっしゃると思いますが、骨密度が%で表示されている理由をご存じでしょうか。

 骨量は若い時に最大となります。その後は変化せず、やがて年齢と共に減っていきます。そこで、20~44歳の若年成人の平均値(YAM)を基準とし、現在の骨量をYAMに対する割合で表すのです。それゆえ、若い時から骨量がYAMよりはるかに少ない人は、たとえ減り方が他の人よりも少なくても骨粗鬆症になりやすくなります。逆にYAMより多い場合には、早い年齢から骨量が減りだしたとしても同年齢に比べてまだまだ十分な量があることになります。

 医療関係者としては、若い人にこそ、若い時にこそ、保健や理科の学習から一歩踏み込んで骨にも関心を持ち、若いうちからコツコツ骨量を貯めてほしいと思います。

教科書をご覧になりたい方へ  都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。

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