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認知症を知る1 きほんのき

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

81-1-1.JPG 本人はもちろん家族にも大きな影響を与え、社会問題化となりつつある認知症。その実相を理解しているか否かで、大げさに言えば人生が変わります。ぜひ理解を深めてください。連載でお届けしていきます。
監修/小阪憲司 メディカルケアコートクリニック院長

 まずは本当に基本的なところから。
 歳をとって物忘れがヒドくなったという自覚のある方も多いと思いますが、これは誰にでもある加齢現象であって、認知症ではありません=表参照。
81-1.1.JPG では、一体どういうものが認知症なのでしょう。
 医学的な定義では、「後天的な脳の器質的障害により、いったん正常に発達した知能が低下し、知的機能障害のために、日常生活や社会生活に支障を生じてくる状態」を指します。
 堅苦しい表現なので少し解きほぐしますと、一つのポイントは「脳の器質的障害」です。脳に、目で見て分かる異変が起きているということです。次のポイントが「知的機能障害」で、記憶、見当識、知識、言語などの能力が、以前の正常だった時と比較して衰えているということです。感情や人格なども変化している場合があります。最後のポイントが「日常生活や社会生活に支障」。だからこそ社会問題化するわけですね。

誰にでも起きる

 さて、朝田隆・筑波大学教授が2010年から全国7カ所で5千人以上を対象に調査した結果、65歳以上の認知症有病率は15.7%という驚くべき数字が出たそうです。また現在のところ、絶対にならない方法というのは分かっていません。要するに、誰がなっても不思議ではないし、なるのは本人の責任でないということです。
 また、発症の原因は多様です。代表的なのは、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性の三大認知症です(今後1種類ずつ詳しく特集していきます)が、他にも様々なものが認知症をひき起こし、その対応策も異なります。現時点では、ほとんどのものが一度起きてしまったら治せないものの、早期に発見することで治療可能なものも含まれています。
 この治療可能な認知症の発見には、専門の医療機関でCTやMRIなどの画像検査を受けることが欠かせません。きちんと診察を受けないと、治せるのに見逃されてしまう可能性があります。また治せないものの中にも、医療によって進行を止めたり遅くしたりできるものが含まれています。さらに、うつ病などでも、認知症とよく似た症状の出てくることがあります。
 よって、「ん?」と思ったら、早めに「物忘れ外来」などを設置している専門の医療機関を受診するに限ります。

治療可能な認知症 甲状腺機能低下症、薬物誘発性認知症、慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症などがあります。脳組織そのものに障害の生じる前なら治療可能ですが、これらの影響で脳組織が障害を受けると治療困難となります。早く見つけて、適切に対処することが必要です。
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