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再生困難とされてきた軟骨や神経の再生医療、京大で進む

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iPs細胞を使うことで、これまでの医療では難しいとされてきた関節軟骨や神経の再生医療に新しい道が開かれつつある。京大が11月24日に開いた記者向けセミナーで、京都大学大学院医学研究科の青山朋樹准教授が現在の研究を解説した。

ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵

以下は、青山准教授の話を箇条書きしたもの。


■関節軟骨の再生医療について
・一般的に関節軟骨は傷つくと修復しないと言われてきたが、iPs細胞研究所からの報告で、関節軟骨再生などの技術により、iPs細胞から関節軟骨片が再生することが分かった。これを膝や肘などの軟骨欠損で困っている患者に移植して使うことが期待されている。
(参考記事:「iPS細胞使い関節軟骨、京大成功 2019年めど臨床手術 」2015年6月1日付毎日新聞)

・私たちはこれにさらに機能を持たせようと、ラットの関節内に移植。その後、散歩より早く歩くぐらいのエクササイズをさせた。結果、軟骨の成長が見られた。

・この実験から骨や軟骨は刺激を加えると活性を高くすることができる、ということが分かった。

・超音波刺激によっても成長する。これらによって難治性のものが発展可能であることが分かった。


■神経の再生医療について

・神経も再生が難しいと言われてきた。

・バイオ3Dプリンターで人工神経を作成し、ラットの足の神経欠損部に架橋すると、8週間ほどで再生する。ラットはその後、足を上げて歩けるようになった。これは工学的な助けがあってできた。臨床試験を進めている最中。

・ただ、人間の神経は長い。神経の成長は1日に1㎜。再生している間に筋肉が萎縮してしまっては元も子もない。筋萎縮防止には電気刺激の方法がある。神経が伸びた後に機能するようにするためのリハビリテーションも必要。立体識別覚、表面知覚の再教育などをする。


今回の話、関節、軟骨に関連するロハス・メディカルの特集
「関節炎 リウマチってなに?」(2009年5月号)
「寒さがしみます。関節痛」(2008年2月号)
「神経痛 うーん、まいった!」(2008年12月号)

「寝たきりを遠ざける運動と栄養」
2 まず現状把握(2014年12月号)
3 なってない?サルコペニア(2015年1月号)
5 楽に筋肉付けたい それならBCAA(2015年3月号)
6 自宅で鍛えて膝関節を守る(2015年4月号)
8 筋肉バンザイ 百薬の長かも(2015年6月号)
9 1日10分余計に動くだけでOK(2015年7月号)
12 孤立は衰弱を招く 衰弱は高くつく(2015年10月号)

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