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睡眠のリテラシー67

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 産業疫学研究グループ部長

 政治であれ、経済であれ、福祉であれ、あらゆる分野で混迷の度合いが増しています。もちろん、我が国だけではありません。つい最近も英国が欧州連合から独立することが国民投票によって決まりました。このような状況では、しっかりとしたリーダーを求める声が高まります。

 偉大なリーダーになるには何が必要でしょうか。育ってきた環境はもとより、普段の勉強、そして周りからの信頼と支援などでしょう。同僚や部下など周りに関係者が誰もいなければ、そもそも指導者にはなれません。仮にいたとしても、「この人と一緒に働きたい」、「この人のためなら自分の労力を惜しまない」と思ってもらえなければ、それまでです。

 米国で行われた最近の研究で、リーダーのあり方と睡眠との関係が深く調べられました。

 一群の学生(45名)はある晩に通常通り睡眠をとりました(平均6.7時間)。もう一群の学生(43名)は夜間に1時間おきに起こされ、睡眠が総じて短くなりました(平均4.8時間)。翌日は両群とも、学生自治会のリーダーとして卒業式で演説するとしたら、どのように行うかという課題が与えられ、一人ひとりの演説はビデオに録画されました。実際には、大学生活の充実に向けて苦労したことや、後輩への真摯なメッセージなどが語られたのではないでしょうか。

 話された内容がどのくらい明確で意味があり、周りの人々をめざすべき方向に確実に導いていたかなどの点から、リーダーシップの高低を第三者が審査しました。審査者は演説した学生がどちらの睡眠条件であったかを知らされませんでした。一方、発表した学生に対しては、どのくらい心の底から自身の気持ちや感情を伝えようとしたかを尋ねました。

 その結果、睡眠の分断された群は通常睡眠の群より、リーダーシップが低いと判定されました。そうなったのは、睡眠を妨げられた発表者が自分のメッセージの大切な部分を真に心を込めて伝えきれなかったからではないかと考えられました。

 リーダーだけではなく、その周りにいる人々にとっての睡眠の意味を調べた別な実験の結果、周りの人々がよく眠っていなければ、リーダーの持つ資質や能力を認めにくくなることも分かりました。

 結局、睡眠が不十分であると、リーダーは自身の信念や魅力をきちんと伝えられず、周りをまとめきれなくなるようです。そればかりか,周りにいる人々はリーダーを軽んじてしまうようになるかもしれません。こうなると、両者にとって何も得はありません。

 様々な意見や利害のある人々をまとめ、やる気を開拓し、目的を達成させるのはリーダーの役目です。その部下や関係者はリーダーを正当に評価し、尊重しながら、与えられた任務を完遂させなければなりません。良いリーダー、そして良いフォロワーになるには熟眠が源と言えそうです。

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