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睡眠のリテラシー29

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 何らかの理由でよく眠れないまま出勤すると、大抵ろくなことはありません。自家用車で通勤していれば、事故を起こす可能性があります。電車で通勤していれば、そのような危険はありませんが、シートに座れたがために、うっかり寝過ごし遅刻となることもあります。

 会社に無事に着いたら、仕事のスタートです。しかし、全力で仕事に打ち込みたいのに、集中力が続きません。つまらないミスを繰り返してしまいます。お昼を過ぎて、暗くした部屋で行われる午後の会議では、意識がしばしば遠のいてしまいます。これらはご本人にとっても、会社にとってもマイナスです。

 睡眠の問題はこれまで、こうした生産性や仕事の質という面からよく調べられてきました。最近では、会社にいる時の善悪の判断についても関心が集まっています。

 どのような職業でも、なすべきこと、やってはいけないことが決められています。この判断を間違ったら、大変なことになります。にもかかわらず、良からぬことに手を染めてしまう場合があります。その理由の一つは、良からぬ睡眠である可能性が出てきました。

 米国で行われた調査では、ある一群の労働者に対して、睡眠の長さや質を尋ねました。さらに、彼らの直属の上司に対して、その労働者が善悪の判断をどのくらい適切に行っているかを尋ねました。

 具体的には、会社の物品を無断で持ち出すか、他の人の手柄を自分のものにするか、自分の過ちを他の人になすりつけるかなどについて問いました。

 労働者に自身の善悪の判断について問うと、もしかしたら、悪いことを行っているのに行っていないと嘘の回答をするかもしれません。それに対して、上司が判定することによって、客観的で、より正確な回答が得られると考えられます。

 労働者と上司のデータを突き合わせて調べたところ、睡眠が短かったり、睡眠の質が悪かったりすると、善悪の判断は甘くなることが分かりました。

 会社にはいくつものチェック体制があり、すぐには悪いことができないようになっています。ただ、それをかいくぐろうと思えば、できないことはありません。問題は、悪事を働きたいという考えが浮かんだ時に、それをきちんと封じられるかどうかです。いわば自分で自分をコントロールできるかでしょう。

 眠らないことに伴う不幸は仕事上のミスや事故だけではなく、許されていないにもかかわらず行ってしまうことによる様々な損失です。そうした悪い行為が発覚して、上司から怒られるだけなら、良い方かもしれません。お客様や会社にまで迷惑をかけるような事態に至れば、クビや会社の存続に関わる危険性もなきにしもあらずです。

 悲しいかな、「悪魔のささやき」は結構強力です。それに打ち勝つには、しっかり睡眠をとっておくことです。

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