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冷えを解消したら、婦人科疾患も不妊も知らないうちに改善していた!

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17歳で多嚢胞性卵巣症候群に...自宅で人工授精やるも失敗『どうしても産みたい。結婚はしたくない』」というネットニュースを読んで、そういえば自分も第2子妊娠前、同じ多嚢胞性卵巣症候群だったことを思い出しました。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS/PCO)とは、未成熟な卵胞が排卵されないまま、次々と卵巣の中にたくさんたまってしまう症状です。エコーで見ると、卵巣の中にいくつもの卵胞が黒く見えます。私の場合もまさにそんな状態でした。

診断を受けるに至ったそもそものきっかけは、長男が2歳を過ぎ、お友達に次々と弟や妹ができ始めたこと。それまでは、いつどこでも、私の手を振りほどいてどこまでも走っていく長男の世話で精一杯で、ママ友の妊娠報告を受けても、自分には第2子は無理だと思っていました。ただ、冷静に考えて今妊娠したとして長男とは3歳差。もし本当に第2子を考えるなら、あまり年齢差が開くと、子育て期間が長くなってかえって大変だ、と気づいたのです。

いますぐに妊娠を、とは思わなかったものの、かなりの月経不順で、これでは妊娠しないだろうと漠然と自覚していました。そこで近所の産婦人科クリニックを受診したのです。

そこで「多嚢胞性卵巣症候群」と診断を受け、漢方薬を処方されました。「ツムラの23番」です。

この漢方薬にはなじみがありました。実は私は昔から月経不順で、10代の頃にはしばらく止まってしまったこともあり、当時から婦人科のお世話になっていたのです。その頃にまず処方されたのが「ツムラの23番」でした。実は自分が飲んでいたのに、具体名を知らないままでいて、今になって調べると、「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」と分かりました。

ツムラのホームページによれば、

血液の巡りをよくして、体を温める「駆瘀血剤(くおけつざい)」です。月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害などによく用いられるほか、産前産後の不調(貧血、疲労倦怠、めまい、むくみ)などにも使われます。
対象となるのは、やせて体力のない「虚証(きょしょう)」の人です。めまい、立ちくらみ、頭重、肩こり、腰痛、足腰の冷え、しもやけ、むくみ、しみ、耳鳴りなどの改善にも使われます。

とのこと。これを見て分かるのは、月経問題には"冷え"が大きく関わっていて、体を温めれば改善すると、昔から経験的に知られていたのだ、ということです。

私自身は結局、その「23番」だけで運よく第2子を妊娠できました。そして改めて思い起こすと、今までの2回の妊娠の時期には、どちらも冷えが改善されていた自覚があるのです。「23番」のおかげだけではないと思います。食生活も多少改め、体つきも幾分ふっくらしていて、それもかえってよかったように感じています。もっと言えば、妊娠した頃から出産後数年間、以前とは体質が変わってように感じていました。ひどい冷え性だったのが改善され、頭痛持ちだったのに嘘のように発症せず、風邪もひきにくかったのです。

婦人科ではその他に基礎体温を毎朝寝床で図ってグラフに記録するように指示されました。10代の頃はその後さらに、24時間ごとに飲まねばならない排卵誘発剤を処方されました。昔から毎朝飛び起きてあわただしく家を出ていたタイプの私は、基礎体温を測るのも忘れがち、ついでに毎日同時刻に薬を飲むのも忘れがちで、担当医師と看護師さんにいつもお説教されていました。でも今思うと、若い頃から婦人科に通っていたこと、通うのに慣れていたことは、悪いことではなかったと思っています。

最初に婦人科を訪れたのは、母に連れられて、まだ高校生でした。その後は一人で、学校帰りに制服で通院していました。なかなか珍しかったと思います。決して優秀な患者ではなかったですが、早いうちから月経不順を放置しっぱなしにせず、事あるごとにそれなりの治療などをしてきたお陰で、多嚢胞性卵巣症候群も重症化せずに妊娠することができたのでは、と個人的に思います。

昨今、非婚化・晩婚化とそれを背景とした出産回数の減少で、月経問題は深刻化しているとのこと。しかし、若い女性にとっては、婦人科はまだまだ敷居の高いところのようです。でも、目がおかしければ眼科、耳や鼻がおかしければ耳鼻科、歯がおかしければ歯科に行くのと同様に、月経痛が酷かったり月経不順が長引いたりしていたら、婦人科に行くのは普通なのです。
                                         
体を温めること、何か異変があったら婦人科を受診すること、この2つの大切さを広く、特に若い女性にぜひ知っていただきたいと思います。 

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