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がんと栄養
※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。
ここまで見てきたように、適切な栄養をきちんと腸管経由で摂ることは、がんに打ち克ったりがんと共存していくために欠かせません。がんの種類や症状によって、通常の食事を取るのもままならない時には、緊急避難的にを設置して備えることがあるのは既に説明した通りです。
しかし胃瘻にもスキントラブルや漏れなどの問題はつきもの。何より食事をすることで、回復への自信にもつながります。「口から食べて飲む」というヒトの基本的な栄養摂取が、様々な観点で本来はベストな方法であることは譲れません。可能ならば早期に経口栄養に戻すことが、回復への近道ともなりえるのです。
がんの進行や治療の副作用で食事が取りづらい場合も、飲み込む動作が可能なのであれば、まずは少しでも食べられるようにいろいろ工夫してみましょう。食べ物の固さや形状、調理法はもちろん、においが駄目という人も、冷ましてみると意外と食べられることもあるようです。でなければ、少量で高カロリーの飲み物やゼリー、シャーベットなどを少しずつ口にするのでもかまいません。最低限、腸を使うのを止めないために、という程度でもいいのです。好きなものを無理せず気負わず、大丈夫な範囲で、できれば楽しめるのが一番です。
心強い専門集団 栄養サポートチーム
こうしてみると、栄養管理は今や治療の一環というべきものになってきています。となると適切な栄養摂取を素人が自分や家族だけで行うのは、かなり難しいこともお分かりいただけるでしょう。そこで頼りになるのが「栄養サポートチーム(NST)」。主に入院患者さんに対して、病院全体でチーム医療体制を敷き、より効率的に栄養管理を実践するものです。メンバーは通常、医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、歯科衛生士などからなっています。
NSTでは患者一人ひとりの栄養状態を調べ、栄養管理を必要とするかどうか判断します。必要とする場合は、チームメンバー各々の専門性を生かして栄養療法を検討、実施します。そうして早期退院・早期社会復帰をサポートし、QOL向上のお手伝いをしてくれるというわけです。
相談窓口が分からないときは、まずは主治医の先生に聞いてみてください。最近では、「栄養サポート外来」を設ける医療機関も増えてきて、対象が広がっています。ぜひ積極的に活用しましょう。