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認知症を知る14 リスクの低い食生活 日本人で初のデータ

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

最新の研究で、日本人にとって認知症発症リスクの低い食事パターンが明らかにされました。端的に言うと、普通の和食で、米飯少なめを心がけて、乳製品をプラスすれば良さそうです。
監修/小阪憲司 メディカルケアコートクリニック院長94-1-1.jpg

 これまで世界的には、「地中海式ダイエット」と呼ばれる食事パターン(表参照)が認知症リスクを下げる(生活習慣病全般のリスクが下がります)と報告されてきました。ただし、ご覧いただくと分かるように、日本人などアジア人が日々の生活の中で真似をするには無理があります。
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 そこへ今回、日本人の食事データに基づいた解析結果が出てきました。九州大学のグループが、福岡県糟屋郡久山町で1006人の高齢者を15年程度追跡した疫学調査(コラム参照)に基づいて『アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション』という雑誌に論文を投稿、5月号に掲載されたものです(抄訳はこちら)。

 複雑な解析を思い切り簡単に説明すると、①認知症リスクに関連あり(上げたり下げたり)との研究結果がある飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウムの7種類の栄養素について、その摂取量との相関が大きかった食事パターン(論文ではDP1と記されていました)を導き出し、その変動を点数化、②次項の表で示す19種類の食品群がDP1の点数にどのような影響を与えるか解析し、③日常の食事のDP1点数の高低と認知症発症との間に相関関係があるか解析しています。

 その結果、予想された通り、DP1点数の高い食事をしている人の方が、認知症発症のリスクは低いということが分かったのです。

久山町研究

 九州大学医学部が、1961年から福岡市に隣接した久山町(人口約8,400人)の住民を対象に行っている疫学調査です。
 久山町の住民は、全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布・栄養摂取量で、日本人の代表として取り扱うのに適しています。
 また、調査から離脱する人が極めて少ないこと、死後に解剖を行って身体状態を確定させる剖検率が非常に高いことから、そのデータの正確性は世界的に定評があります。
 糖尿病が明らかに認知症発症のリスクを上げるという報告も、この研究から出ています。


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