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トマトは脳卒中リスクを下げる

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 フィンランドのKoupioという都市や近隣住民を対象としたコホート研究において、トマトに含まれるリコピンが脳卒中リスク低下と関連あることが分かりました。

Serum lycopene decreases the risk of stroke in men A population-based follow-up study
Jouni Karppi, PhD, Jari A. Laukkanen, MD, PhD, Juhani Sivenius, MD, PhD, Kimmo Ronkainen, MSc and Sudhir Kurl, MD
doi: 10.1212/WNL.0b013e31826e26a6 Neurology October 9, 2012 vol. 79 no. 15 1540-1547

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

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●背景
 フルーツと野菜の摂取および血清カロチノイド(天然色素)のレベルが脳卒中リスクを下げることと関連あるとされてきているが、研究結果は一致したものとはなっていない。本研究の目的は、主要なカロチノイドとα-トコフェロール、レチノールの血清濃度が男性の脳卒中全般や虚血性脳卒中と関連あるかどうかを検証するものである。

●方法
 Kuopio Ischemic Heart Disease Risk Factor研究コホートにおいて、46~65歳のフィンランド人男性1,031人を対象とした。検討する成分の血清濃度は、高速液体クロマトグラフィーによって計測された。リコピン、α-カロテン、β-カロテン、α-トコフェロール、レチノールの血清濃度と脳卒中との関連について、ハザード比を求めた。

●結果
 中間値12.1年の追跡調査期間中に全体で67件の脳卒中が発生し、このうちの50件は虚血性脳卒中であった。年齢・検査年・BMI・収縮期血圧・喫煙・血清低密度リポタンパクコレステロール(LDLコレステロール)・糖尿病の既往・脳卒中の既往で補正を加えたモデルで分析をしたところ、血清中のリコピン濃度によって4群に分けた中で最もリコピン濃度が高い群の男性は、最も低い群の男性と比較して、虚血性脳卒中において59%、それ以外の脳卒中において55%リスクが下がると分かった。虚血性脳卒中でのハザード比は0.41(信頼区間 95% 0.17~0.97 P=0.042)、その他の脳卒中においては0.45(信頼区間 95% 0.25~0.95 P=0.036)となった。α-カロテン、β-カロテン、α-トコフェロール、レチノールについては、脳卒中リスクとの関連は見られなかった。

●考察
 今回の前向き研究によって、血清中のリコピン濃度が高いことは、脳卒中全般および虚血性脳卒中のリスク低下に関連があることが示され、トマトやトマトベースの製品を摂取することが勧められる。

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