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認知症を知る18 義歯を使わないと発症リスク上がる
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かかりつけ歯科医院の有無も関連あり
さて実は、研究報告に続きがあります。
かかりつけの歯科医院があるかどうかを尋ね、ないと答えた人は、あると答えた人より1.44倍(95%信頼区間は1.04倍から2.01倍の間)発症リスクが高いという結果も得られたのです。
そんなものが関係するのか、と驚きますよね。グラフ2で見ても、やはり両者には差があります。なんだか歯科医の回し者のような内容になってしまいましたが、それだけ歴然とした差が出ているということは知っておいて損はないでしょう。
認知症を遠ざけたいなら、歯の健康を気にした方がよいことになりますね。
しかも、影響は認知症だけに留まりません。山本准教授らは昨年8月、やはり愛知老年学的評価研究から、歯が19本以下で義歯を使ってない人は、20本以上ある人の2.5倍(95%信頼区間は1.21倍から5.17倍の間)、転倒のリスクが高いということも論文報告しています。
転倒が、脚の骨折から寝た切りにつながりかねない大きな要因であることは、皆さんもご存じでしょう。
2本の論文のラスト・オーサー(責任筆者)である平田幸夫・神奈川歯科大教授は「フッ素入りの歯磨き剤によって状況が劇的に改善したむし歯と違い、歯周病のケアは本人だけではなかなか難しいものがあります。歯を失わないよう、かかりつけの歯科医を持って定期的にメンテナンスを受けること、もし失ってしまったとしても、放置せず義歯を作って入れていただくことを、訴えたいと思います」と話しています。
愛知老年学的評価研究 高齢者の健康、生活、社会・経済状況、社会との関係を調査したものです。 近藤克則・日本福祉大教授を主任研究者として厚生労働科学研究などを受けて、1999年に愛知県の2自治体を対象として始まり、2003~04年に3県15市町村で調査、06~07年に3県10市町村で調査が行われました。今回の研究は03年調査に基づいて、山本准教授が分担しました。 10年からは対象が12道県32市町村と大幅に拡大し、名称も「日本老年学的評価研究(JAGES)」となりました。