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フローラン/命綱なのに、高価ゆえ量に「制限」

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

NPO法人PAHの会理事長 村上紀子
このコーナーでは、様々な原因で医薬品や医療機器のラグ・ギャップに悩む患者の方々に、どういうことで苦しんでいるのか、直接書いていただきます。

 肺高血圧症は100万人に数名とも言われる希少難病です。心臓から肺へ血液を送る血管に何らかの原因で異常が起こり、心臓に負担がかかってだんだん正常に機能しなくなる、命にかかわる疾患です。
 男女の性別に関係なくあらゆる年代で発症します。医学書も「発病から数年で命を落とす大変に予後の悪い病気」等と記載されていて、診断された患者は、絶望感に打ちひしがれるのが常でした。でも、正しくは「ただし治療をしなければ」という言葉を付け加える必要があります。治療薬はあるのです(治療をしない場合の生命予後は、発病から5年で40~50%と言われております)。
 発病から数年で大多数の患者が命を落としていた希少難病の生命予後を飛躍的に改善し、患者に生きる希望を与えたのが、83年に英国で開発され、その後米国で投与方法の改善が行われた『フローラン』という治療薬です。現在、使用している国内の患者は約300人おります。
 患者の予後を大幅に改善した米国式フローランの投与方法では、肺高血圧症の病態が進行性であることから、個々の患者の病態によって、フローランの投与量を増量しています。つまり通常患者が長く生きればそれだけフローランの投与量は増え続けることになります。
 フローランはわが国でも99年、「使用量に上限のない保険薬」として承認されましたが、承認当初の薬価が何と米国の10倍であったために、1人の患者の使用するフローラン代は、1カ月で5百万円、年間7千万円以上に上る例も頻発しました。保険財政を圧迫するとの理由で、支払い機関から全国各地で減額査定が繰り返され、結果として患者は十分な量を使うことができず、命を落とし続けております。
 何故このような薬価設定がされてしまったのかですが、国内でフローランを開発した担当者が、「少量使用して、容態が改善したら離脱して、当時国内で承認されていた経口薬に切り替えるための承認申請であった」と語っていたことと密接に関係があるようです。つまりメーカーは「少量使用・離脱」という開発意図でしたが、同剤の米国式「継続・大量投与法」は、既に承認時よりわが国の臨床現場に浸透しており、以後メーカーの意図した投与法は行われてきませんでした。
 加えて、高額なフローランは近年開始された包括払いの制度(DPC)にも含まれてしまっており、「患者の病状にあった同薬の大量投与」はますます難しい状況になってきております。
 肺高血圧症は命にかかわる疾患です。厚労省もフローランに関して「一日の使用量に上限を定めない保険薬」と通達文(02年)に明記しています。この内容を守ってください。
 幸い、フローランは特許切れして後発品が承認され、これから薬価が決まるようです。後発品も高すぎるなどということのないよう、薬価が高いとの理由で、私たち肺高血圧症患者の命を摘み取ることのないように心より願っております。

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