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乳がん診断、3Dを加えた方が正確

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 米国で、乳がん検診に用いられる従来のマンモグラフィーと3次元撮影できる3Dトモシンセシスとを比較したところ、がん診断正確度や、がんではない症例の再現率で、3Dトモシンセシスを用いた方が精度は高いと分かりました。

Assessing Radiologist Performance Using Combined Digital Mammography and Breast Tomosynthesis Compared with Digital Mammography Alone: Results of a Multicenter, Multireader Trial
Rafferty EA, Park JM, Philpotts LE, Poplack SP, Sumkin JH, Halpern EF, Niklason LT.
Radiology. 2012 Nov 20. [Epub ahead of print]

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

●背景

 放射線技師の診断における正確度と再現率に関して、2次元画像のみのデジタルマンモグラフィーと2次元画像・3次元画像を一度に撮影できる3Dトモシンセシス(*1)とで乳房撮影の比較を行った。

●方法

 両乳房の中外側斜め方向および頭尾方向デジタルマンモグラフィー画像と3Dトモシンセシス画像が1,192人の被験者から撮影された。両方の画像を比較するために二つの読影研究が実施された。

 研究1では、12人の放射線技師によって画像読影がされ、312の症例中に48件のがん症例を見つけた。研究2では、別の15人の放射線技師が、312の症例中に51件のがん症例を見つけた。研究1での読影者たちは、異常が想起される場合のみの存在を記録した。研究2での読影者たちは、さらなる訓練を積み、障害タイプと位置を記録した。診断の正確度が受診者動作特性分析(*2)によって比較された。乳房撮影報告の分析およびデータシステムの得点によって、がんではなかった症例の再現率、感度、特異度、陽性または陰性予測的中度が比較された。

●結果

 診断の正確度は、3Dトモシンセシスの方が、デジタルマンモグラフィーよりも勝っていた。研究1における受診者動作特性分析曲線下面積の平均差異は、7.2%(信頼区間95% 3.7%~10.8% P<0.001)で、研究2では6.8%(信頼区間95% 4.1%~9.5% P<0.001)であった。27人の放射線技師全員が、3Dトモシンセシスで診断の正確度が増した。がんではない症例の再現率は、3Dトモシンセシスの場合にすべての読影者で有意に減少し、6%~67%(25人の読影者ではP<0.001、すべての読影者ではP<0.03)となった。感度増加は、浸潤がんで最も大きく、研究1では15%であったのに対して研究2では22%となったが、上皮内がんでは両研究とも3%にとどまった。

●考察

 2次元画像と3次元画像を同時に得られる3Dトモシンセシス検査は、診断の正確性が増すことと、がんではない場合の再現率が減ることにおいて、有意な二重の利益を提供する。

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