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カルシウム摂取で副甲状腺機能亢進症のリスクは下がる

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 カルシウムの摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症との関連を調べたところ、カルシウム摂取量の多い方が副甲状腺ホルモンの分泌異常リスクが下がると分かりました。

Calcium intake and risk of primary hyperparathyroidism in women: prospective cohort study
Julie M Paik, instructor and attending physician, Gary C Curhan, professor and attending physician, Eric N Taylor, assistant professor and attending physician
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e6390 (Published 18 October 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e6390

川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

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●背景
 原発性副甲状腺機能亢進症は、米国で毎年新たに100,000件の発症がある。高カルシウム血症の最も一般的な原因となり、3番目に多い内分泌障害である。閉経後の女性の2%は、この病気を有する可能性がある。原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺ホルモンが高レベルまたは抑制不十分なレベルで分泌される高カルシウム血症によって特徴づけられ、全体の85~90%は孤立性副甲状腺線腫である。関連罹患や大きな後遺症には、骨塩量減少、骨折、腎臓結石がある。しかしながら、原発性副甲状腺機能亢進症の危険因子についてはほとんど知られていない。
 
 カルシウム摂取は、副甲状腺ホルモンのレベルに影響を与えることが知られており、原発性副甲状腺機能亢進症の発病において重要となり得る。しかしながら、今日までカルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症発現との関係を前向きに調査した研究は存在していない。カルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症リスクとの関連を調べるため、Nurses' Health Study I(*1)においてベースライン時に原発性副甲状腺機能亢進症既往歴のない58,354人の女性を対象に前向きコホート研究を行った。

●方法

(1)対象者
 Nurses' Health Study Iの対象者中、原発性副甲状腺機能亢進症既往歴についての質問が含まれていた2006年または2008年のアンケートに回答した58,354人。

(2)食事摂取量評価
 対象者の食事評価をするため、食物摂取頻度調査を実施し、130を超える食品目と22の飲料品目に関する前年の平均摂取について尋ねた。対象者は、1986、1990、1994、1998、2002、2006年に食物摂取頻度調査票に記入することを求められた。指定単位による食物の摂取頻度報告と米国農務省の指定分量における関係栄養素量データから特定の食事因子摂取量がコンピュータ計算された。

 食物摂取頻度調査では、カルシウムサプリメント、ビタミンDサプリメント、マルチビタミンの使用についても尋ねられており、マルチビタミンに含まれている補助的カルシウム・ビタミンA・ビタミンDまたは独立した形態でのそれらの摂取がブランド・タイプ・報告された使用頻度から測定された。

(3)食事因子以外の評価
 年齢、BMI、喫煙状況(全くなし・過去にあり・現在あり)、運動(代謝当量スコア)、糖尿病歴、高血圧、利尿剤使用、閉経状況、閉経後のホルモン剤使用について、隔年のアンケートにより確認された。

(4)症状の確認
 対象者は、2006年と2008年のアンケートで副甲状腺機能亢進症の診断について質問された。2008年のアンケートでは、生涯での副甲状腺機能亢進症既往歴についても質問された。原発性副甲状腺機能亢進症と続発性副甲状腺機能亢進症を識別するため、承諾した対象者に関しては医療記録を取り寄せ、病理学的記録から原発性副甲状腺機能亢進症の症例を確定した。線腫切除が行われた場合、または高レベルまたは抑制不十分なレベルで副甲状腺ホルモンが分泌され(50pg/mL以上)カルシウムの血清中濃度上昇(10.6mg/dL以上)を起こしているものを特定した。医療記録による確定率は75%で、データが不十分である場合、ビタミンD欠乏や腎不全による続発性副甲状腺機能亢進症の場合は症例から除外した。1986年のアンケート返送日から2008年5月31日までの22年間で診断された原発性副甲状腺機能亢進症の症例のみを分析対象とした。

(5)統計分析
 栄養摂取量によりコホートを5群に分類した。カルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症との関連は、相対危険度により表した。また、比例ハザードモデル分析をするため、以下の変数による補正を加えた。
1 年齢
2 BMI(22未満、22~24.9、25~29.9、30以上)
3 人種(白人か白人ではないか)
4 運動レベル(レベル別に5群に分類)
5 アルコール摂取(全くなし、0.1~4.9g/日、5~14.9g/日、15g以上/日)
6 サイアザイド系利尿薬またはループ利尿薬使用(あり、なし)
7 補助的カルシウム摂取(なし、1~500mg/日、500mg超/日)
8 補助的ビタミンD摂取(なし、1~400IU(国際単位)/日、400IU超/日)
9 カルシウム、ビタミンD、ビタミンA、総タンパク、動物性タンパクの食事からの摂取量
10 自己申告による糖尿病
11 自己申告による高血圧
12 閉経状況
13 閉経後のホルモン剤使用
14 過去2年間における検診

●結果

(1)食事からのカルシウム摂取量
 22年間にわたる追跡調査での1,475,978人年中、277件の原発性副甲状腺機能亢進症発症が確認された。食事からのカルシウム摂取量が多いほど、原発性副甲状腺機能亢進症のリスクが下がると分かった。年齢・BMI・人種・喫煙状況・カルシウムサプリメント使用・ビタミンD摂取・食事からのビタミンAとタンパク摂取・アルコール摂取・利尿剤使用で補正を加えた相対危険度は、摂取量が最も少ない群(摂取量中間値443mg/日)を1.0として比較すると、最多摂取群(摂取量中間値1,070mg/日)では0.56(信頼区間 95% 0.37~0.86 P=0.009)となった。

(2)総カルシウム摂取量
 食事からとサプリメントからを合わせた1日あたりの総カルシウム摂取量が多い方が、原発性副甲状腺機能亢進症のリスクが下がると分かり、最多摂取群(摂取量中間値1,794mg/日)の多変量補正相対危険度は、最少摂取群(摂取量中間値522mg/日)と比較して0.41(信頼区間 95% 0.27~0.63 P<0.001)であった。

(3)補助的カルシウム摂取量
 補助的カルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症リスクとの関連も調査した。研究当初では補助的カルシウム使用分類では十分な原発性副甲状腺機能亢進症件数を導き出すことができなかったため、補助的カルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症リスクとの関連調査は、1994年に開始し2008年まで追跡調査を行った。14年間にわたる追跡調査での985,628人年中、257件の原発性副甲状腺機能亢進症発症が記録された。

 補助的カルシウム摂取量が多い方が、原発性副甲状腺機能亢進症リスクが下がると分かった。最多摂取群(摂取量500mg超/日)の多変量補正相対危険度は、最少摂取群(摂取なし)と比較して0.41(信頼区間 95% 0.29~0.60 P<0.001)であった。

(4)追加分析
 過去2年間に検診を受けたか受けていないかによる層別分析や、検診を受けた人に絞っての分析においても、カルシウム摂取量が多いと原発性副甲状腺機能亢進症リスクが低くなるという関連性に変化はなかった。加齢とともに原発性副甲状腺機能亢進症発症が増えるように思えるため、65歳以上と65歳未満での層別分析を行ったが、どちらの年齢層においても、カルシウム摂取量が多いと原発性副甲状腺機能亢進症リスクが低くなるという関連性に変化はなかった。

●考察

 著者らの知る限り、カルシウム摂取量と原発性副甲状腺機能亢進症のリスクとの関係をコホート研究から報告したのはこれが初めてである。女性では、食事からでも補助的にでもカルシウム摂取量の多い方が原発性副甲状腺機能亢進症発症のリスクは低くなり、これは年齢・体の大きさ・食事・その他の要素からは独立した要素となっている。

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