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睡眠のリテラシー1

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 私は労働安全衛生総合研究所という厚生労働省の独立行政法人で働いています。当研究所は、健康で安全に働くために役立つ科学的なデータを提供するために、調査研究を行っています。職場にはたくさんの有害なものや危険なものがあるため、色々な分野の専門家が問題の解決にあたっています。私自身は、ちょうど20年前にこの研究所に入ってから、働く人々の睡眠について調べています。

 大学4年生の時、就職活動の一つとして、国家公務員試験を受けました。霞ヶ関にはそもそも興味はありませんでしたが、一次試験の後、その年に研究員の募集があることを知りました。そこで、研究所まで、くわしいお話を伺いに行きました。

 「労働態様と睡眠」。もし採用されたら、取り組むのはこのテーマです、と受け入れ担当の先輩研究員から示されました。丁寧に説明してくれたのですが、何が何だか、当時はさっぱり分かりませんでした。大学では心理学専攻で、人の行動パターンなどには少し触れていましたが、睡眠については全くの無知でした。

 あまりに分からない分野に進むよりは、もう少し理解できるところに進もうとも一時は考えました。ですが、大学の恩師からの「これからは健康を高める研究が大事」という一言が決め手になりました。また、当時いわゆる"過労死"が社会問題化してきており、幸せになるために働いているのに、なぜ死ななければならないのか、という強い疑問も研究所への就職を後押ししました。

 勤務を始めてからの数年は案の定、右も左も分からず、とても不安でした。そんな私を、早く一人前になれるよう、上司や同僚は支えてくれました。そうこうしているうちに、働く人々にとって、睡眠がいかに大切であるかが染み入るようにわかってきました。これはとても幸運であったと思います。

 さて,この連載のタイトルである「睡眠のリテラシー」は、あまりなじみのない言葉かもしれません。一言で言えば、ぐっすり眠るために、睡眠に関する様々な情報を正しく使いこなす力でしょうか。

 よく眠ることは誰にとっても大切です。働く人々とっては、健康を保つためだけでなく、生産的に、そして安全に働くためにも、良い睡眠が不可欠です。にもかかわらず,国内外の競争、24時間サービスの提供、雇用の不安、職場のストレスなどが今は目白押しで、安眠が妨げられています。このような状況はすぐには変えられません。ですが、睡眠のリテラシーがあるとないとでは、日々の生活に大きな差が生まれるはずです。

 この連載では、睡眠のリテラシーを高めるヒント、健康で充実した働き方のヒントについて、皆さんと一緒に探していきたいと思います。

たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2001年、米国ハーバード大学医学部留学。

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