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離乳食を固形で進める方法もある

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生後半年に近づくと、離乳食の時期がやってきます。それまではおっぱいやミルクでよかったのに、あれこれと手間をかける必要が出てくるので、大変な思いをしているお母さんも多いと思います。

筆者も、茹でたカボチャや大根をつぶしたり、おかゆを柔らかく炊いたりして頑張りました。それでも、息子がご機嫌で食べてくれたかというと、毎回そうはいかないので、用意がつらくなったりもしたものでした...。

離乳食は最初、「なめらかにすりつぶした状態」のものから与えると母子手帳にも書かれています。

一方で、そういった液体状、ペースト状のものではなく固形のものを与えていくとどうなるかという研究もされているようです

研究では、1歳8ヶ月から6歳半の子供の親155人に、乳児期の食べ物や離乳経験に関するアンケート調査をしました。アンケートでは、炭水化物、タンパク質、乳製品等の一般的な食品のカテゴリで、151の異なるタイプの食品の好みを調べました。92人の親は、生後6ヶ月から、自分で指でつまんで食べられる固形食を使って、赤ちゃんの自主性にまかせた離乳を実践しました。63人の親は、伝統的な、裏ごしして滑らかにすることで食べ物の歯ごたえや種類に変化を付けた離乳食をスプーンで食べさせました。


結果は、赤ちゃんの自主性にまかせた離乳のグループは、スプーンで育てられたグループより炭水化物を多く好みました。一方、スプーンで育てられたグループは、甘い食品を好みました。さらに、スプーンで育てられたグループは、より低体重や肥満の子供が増加しました。

ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵

ただし、この結果についてはこのような意見も(上記リンク先から抜粋)。

「赤ちゃんの自主性にまかせた離乳の是非については古くから議論されていて、Crala Davis博士の研究が有名です。赤ちゃんとお母さんを研究施設に隔離して、お母さんには手を出させず、用意した食べ物を赤ちゃんに好きなように食べさせた結果、栄養的に必要十分だった、ということですが、数々の臨床試験がそうであるように、やはりミスリーディングがあります。一番重要なのが、用意した食べ物は研究者側が恣意的に用意したものであるということだと思います。Crala Davis博士の研究の場合、用意している食品がもともと健康的です。この中から選べばどう選ぼうと健康的になるだろうと。

実際の赤ちゃんの生活を考えると、やはり誰かが用意したものを食べているわけで、多くの場合母親の選択に依存しているわけです。

家庭によっては、健康的な食品だけでなく砂糖だらけのお菓子からしょっぱいソーセージ(なぜか子供は大好き)、脂っこいお父さんのビールのおつまみや人工甘味料まみれのジュースまでいろんな"悪い"食品にさらされることが多いですが、こうした現状の評価をふまえても赤ちゃんの自主性にまかせて大丈夫なのでしょうか?小麦ふすまビスケットとチョコレートクッキーなら、間違いなくチョコレートクッキーを選ぶと思いますよ?

ミルクや母乳だけの世界から食生活の大海に繰り出す赤ちゃんには、やはり適切なガイドが必要だと思います。離乳期の栄養や味覚形成がその後の健康に重要だという事実はたくさんの研究に裏付けられているものの、「ガイド」の養成や評価にはあまり力が注がれていない気がします。個人的にはそれこそ重要だと思うのですが」


結局、離乳食を赤ちゃんが自分でつまんで食べられる固形のものにしたとしても、材料に何を選ぶかは親次第なので、親の影響が大きいということです。

ただ、とにかく何でも裏ごして、だしをとって、と液体状やペースト状にしなければいけないわけではないと分かりました。固形で離乳食を進めていく方法も選択肢の一つとしてあるということです。

もちろんその時期の赤ちゃんが食べられるものなので、固形といっても歯茎でつぶせたり、溶けやすかったりするものを選ぶ必要があります。これはこれで、また頭を悩ませる材料が増えてしまうのかもしれませんが...。筆者も次回があれば考えてみようと思います。

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