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糖がどう貯蔵されるか 意識して糖尿病を防ごう

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

大人が受けたい今どきの保健理科11

吉田のりまき

薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰

 体の細胞は絶えずエネルギーを必要とします。しかし私たちの食事は基本的に1日3回。体は、3回で得られた栄養をうまくやりくりして、24時間60兆個の細胞に多過ぎず少な過ぎない適量を供給し続けています。貯蔵しておく仕組みが発達しているからです。

糖の再学習を

 このエネルギーのやりくりを考えるうえで特に重要なのが糖です。

 細胞が必要なブドウ糖は3大栄養素である炭水化物から得られます。このことは小・中学校の理科で学習するので、皆さん大変よくご存じです。しかし学校の外には、ブドウ糖だけでなく、砂糖、果糖、オリゴ糖、糖質、糖類といった「糖」の付く言葉が溢れていて、何が何だか分かりにくくなっています。

 炭水化物についても、実生活と関連させて考えることが難しいようです。

 それゆえ、甘い物は制限しておきながら炭水化物を多量に摂ってしまったり、便通改善のために食物繊維を摂っていながら極端に炭水化物を抜いてしまったりと、つじつまが合わない食生活をしている人も散見されます。

 海外の理科の教科書の中には、糖や消化の単元で糖尿病とその予防方法まで記載しているものがあります。日本では病気のことは保健で扱うので、保健と理科の関連が乏しくなっています。海外のように理科の学習時に保健を絡めたほうが、前述のような勘違いも少しは減るのかもしれません。

98-h1.jpg 炭水化物と糖の関係を図で示しておきます。

 炭水化物は「ヒトの体の中で消化されるかどうか」という観点から、栄養学的に「糖質」と「食物繊維」に大きく分けられます。「消化されるもの=糖質」、「消化されないもの=食物繊維」です。

 次に、この「糖質」はさらに「糖類」であるかないかで分類されます。大雑把に言うと「カロリー源になりやすいかどうか」ということです。ブドウ糖や果糖のような「単糖類」や、砂糖や麦芽糖のような「二糖類」が糖類に該当します。オリゴ糖のような「多糖類」やキシリトールのような「糖アルコール」が、糖類でない糖質として分類されています。

 生活習慣病を防ぐため糖分を控えなさいと医師が指導する時、一般的にはカロリー制限を意味しているので、この図の「糖類」を控えることになります。分類を意識せず炭水化物すべてを制限してしまったならば、食物繊維の摂取量も減ってしまいます。

インスリンの役割

 さて本題です。

 一般の細胞はブドウ糖を貯めておくことができないので、食後にブドウ糖の量が増えたら、いったん体のどこかに貯めておく必要があります。

 この調整をしているホルモンがインスリンです。インスリンは、すぐには細胞で使われない余分なブドウ糖をグリコーゲンに変えて肝臓で貯蔵をします。グリコーゲンは、血液中のブドウ糖が減ってきたら、またブドウ糖へと戻ります。

 さらにインスリンは、肝臓だけでなく、骨格筋にも働きかけてブドウ糖を貯蔵させます。筋肉が収縮するためのエネルギー源として蓄えさせるのです。それでも貯蔵し切れないほどブドウ糖が多い時は、グリセロールという物質に変え、中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵します。

 暴飲暴食で捌き切れない量のブドウ糖が体の中に何度も入ってくるようになると、体は調整作業に疲弊してしまい、やがてインスリンの分泌力が落ちてきます。

 また高齢になったり、運動不足などで肥満になったりすると、インスリンの作用が骨格筋に十分に働かなくなってきて、骨格筋へのブドウ糖の取り込みが悪くなっていきます。そうなると、食後に増えた血液中のブドウ糖の量を十分にコントロールできなくなり、血液中の糖の量が常に多くなります。高血糖です。このように、骨格筋への取り込み力が落ちることが原因となって糖尿病を発症していることがあります。

 毎日何度となく一時的に急増するブドウ糖の量を調整している体の仕組みに思いを致し、無理な負担をかけないような生活習慣を心がけたいものです。

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