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自律神経に任せて良いこと悪いこと

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

大人が受けたい今どきの保健理科8

吉田のりまき

薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰

 内臓や血管には自律神経が働いていて、意識しなくても体をいつもの状態に保とうとします。それで安心して自分の体を任せられるのですが、任せられない部分もあります。任せられない部分は、早め早めに自分で対処して健康を維持する必要があります。

よく知られてる

 「自律神経」という言葉は、日常的によく使われています。「昼夜逆転した生活をしていたので自律神経が乱れている」とか「エアコンが効きすぎた部屋で仕事しているので自律神経のバランスが崩れている」というような言い方が耳に入ってきます。特別な病名がつかない程度の体調不良の時、自律神経と結び付けた表現で相手に話す方が、症状を伝えやすいのでしょう。

 また、自律神経そのものについても、皆さんよくご存じです。「自律神経とは何ですか?」と聞いてみると、「自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があって、それぞれが相反する働きをし、その時々の状況に合わせてどちらかが働き、体の調子を整えてくれる神経」という答えが返ってきます。だいたい皆さんがこのように説明されます。

 なかには、「暑いときは汗を出して体温を一定に保ってくれる」、「ジョギング中は心臓や肺の働きを活発にして、酸素を全身に運んでくれる。ジョギングが終わると血圧がいつもの値に戻り、血圧が一定に保たれている」、「副交感神経が働いて消化器系が動く」といった事例で説明される方もいます。

学校では習わない

 実は義務教育の理科や保健で、自律神経について全く学習しません。自律神経以外の神経系のことは中学2年の理科で学びます。保健の教科書では資料編として登場することもあります。しかし、生命を維持する重要な仕組みである自律神経の働きについては、恒常性と同様、基本的に義務教育では教わらないカリキュラムになっています。

 ですから、皆さんの知識もきっと学校以外で得たものでしょう。

 学校のカリキュラムのように体系的な学習ではなく、自分の体調と照らし合わせて気になった時だけ学ぶ知識は、時に断片的になり本質を見失うことがあります。そこで、体温や血圧について自律神経と関連づける際に、留意していただきたいことをご説明しておきたいと思います。

短期的な変化を調整

 自律神経には、体温や血圧を一定に保ち、いつもの状態に戻すという働きがあります。しかし、それは「時々の変化」に応じて心臓や内臓や血管に働きかける仕組みを持っているということであって、絶えず最適な値を維持する役割を担っているということではありません。これが意外と理解されていないように思います。

 「時々の変化」とは、簡単に言ってしまえば短期的な変化のことです。

 例えば、寒い冬に温かい部屋から外に出た時に体が受ける温度変化です。

 また、恐怖を感じたり緊張をしたりした時は、心臓がドキドキし脈も速くなります。これは、素早い判断や行動をとれるように自律神経が働いて、脳や筋肉に血液をたくさん送っているのです。そのため血圧が上がりますが、危険でないと判断すれば血圧は元に戻っていきます。

 さらに、24時間のライフサイクルに合わせた変化というものがあります。起きている時と寝ている時とでは心臓や内臓や血管への働きかけを変えています。

 これに対して「慢性的な変化」というのがあります。体温や血圧が「絶えず高めになっている」「絶えず低めになっている」という変化です。自律神経はこの変化には対応していません。「高め」であろうと「低め」であろうと、「時々の変化」に対応し、対応した後は、いつもの「高め」や「低め」の状態に戻すだけなのです。

要注意の高血圧

 体温の場合は、高めになると発熱するので容易に気がつきます。しかし、血圧の場合は、高めになっていても自覚できません。血管が老化して血圧が上昇していても分かりません。そこで血圧を測定し、体のSOSを自ら拾うことが大切になります。

 また、本来ならば自律神経に血圧のことを任せておけばよいのですが、日常的に血圧が高めになってしまった場合、任せっぱなしは危険です。「時々の変化」があれば容赦なく血管を収縮させてしまうので、冬の寒い日にトイレやお風呂場で血圧が一気に上がって倒れることがあります。

 同じ体の仕組みでも、健康な時と病気予備群の時とでは違った捉え方をしなければならないことを意識して、健康の知識を増やして活用していただきたいと思います。そして自分の健康状態を検査などでよく知った上で、その知識を活かし、健康にご留意いただきたいです。

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