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睡眠のリテラシー68

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 産業疫学研究グループ部長

 寝る前にすることと言えば、歯磨き、寝間着への着替え、目覚まし時計のセットなどがあります。電気を消してすぐに眠る人もいますが、布団に入った後に音楽を聴いたり、本を読んだりして、眠りを待つ人もいます。

 寝る間際に読書をしたければ、これまでは紙媒体の本しかありませんでした。それに対して、最近は小さな電子端末に載せた本、つまり電子書籍を読む人が増えています。電子書籍を読む装置(リーダー)を使うと、紙媒体の本のようにページを指でめくれます。数十から数百冊に及ぶ書籍を保存できるので、読みたい時に一覧からすぐに選べます。さらに、文字の大きさを拡大できるのは中高年者にとってありがたい機能です。

 好きな本をこうして読んでリラックスすれば、寝付きは良くなり、ぐっすり眠ることができそうです。しかし一方で、電子書籍リーダーの中には明るい光を放つものもあり、それが私たちを目覚めさせてしまうのではないかとも心配されています。

 米国で、ほのかな明かりの下で電子書籍リーダーによる読書または紙媒体による読書を5日間続けて午後6時から10時まで行い、その後の睡眠や体内時計がどのように変わるかを調べる実験が行われました。実験に参加したのは20歳代の男女6名ずつで、読書と睡眠(午後10時から午前6時)以外の時間は、薄暗い照明の部屋で静かに過ごすというものでした。

 消灯から寝付くまでの時間を比べると、電子読書で紙読書より10分長くかかりました。睡眠の内容を見ると、電子読書ではレム睡眠が1割減っていました。

 眠気については、寝るまでの間は電子読書の方が少なかったのに対して、起床してからは電子読書の方がより眠気を感じました。

 それぞれの読書条件に入る前日から5日後にかけて体内時計の変化をホルモンから調べた結果、1時間半ほど夜型化していたことも分かりました。

 以上の結果によれば、この実験で使った電子書籍リーダーは、快眠をもたらすどころか、眠りを崩し、寝覚めも悪くし、体内時計までずらしてしまうように見えます。

 ただし、本当にそうかとなると注意しなければなりません。何より、睡眠前4時間にわたって読書するなど、実験の設定は明らかに現実とかけ離れています。読書の違いによる効果だけを浮き立たせるように計画されているとも言えます。また、電子書籍リーダーにはいくつもの種類があるので、一括りに眠る前の電子読書が良くないとはまとめられません。

 とは言え、電子読書は睡眠や体内時計に影響を与える可能性がゼロでないようです。昨今はスマートフォンを含む電子端末を一日中手放さない方、さらに布団の中にまで持ち込む方がいます。光に当たるべきではない時間帯に当たっていないか、電子端末との付き合い方を見直してよいでしょう。

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