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「運動しているのに太っている人」のダイエット

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健康維持のために運動を続けている人は少なくないですよね(それだけでもスゴイと思ってしまいますが)。でも、問題は「運動しているのに太っている人」で、日常的に体を動かすことがあまりない人とは、ダイエットの際にも気を付けることが多少違ってくるようです。ただ、動機を付けるのかは、誰しも知っておいてよさそうです。

大西睦子の健康論文ピックアップ52

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

理想の体重を維持するにあたって、もし、「エネルギーのバランスが、(摂取カロリー)--(使ったカロリー)=0 という単純な計算に従えばいい」というのなら、話は簡単なはずです。ところが、この古典的なエネルギーバランス方程式は成立しません。


よくある間違いは、 他のすべての要因を考慮せずに、方程式の両側だけで計算し、摂取と消費の差が3,500kcal増減すれば、常に体重が約0.5kg増減すると仮定することです。


これについてはSwinburn氏とRavussin氏が、例えば75kgの男性が40年間毎日100kcal余分に摂取した場合に、何が起こるかを明らかにしました。エネルギーバランス方程式に従えば、このエネルギー量は150万kcalに等しくなり、この期間に190kgの体重増加が推定されます。ところが、現実にはそうはなりません。なぜなら実際は、多くの要因がエネルギーバランス方程式に影響を与え、最終的に体重を決定するからです。


●エネルギー摂取に影響する要因:

食べた量、食べた物の栄養素成分、食物繊維※1の摂取量、食べ物の種類、身体活動に関連した食事のタイミング、今の体重、食欲調節ホルモンなど


●エネルギー消費に影響する要因:

日常生活の活動量、身体組成、遺伝的背景など


例えば、激しい運動は食欲調節ホルモンを鈍らせ、 エネルギー摂取量が減ることがあります。また、トレーニング以外でも日常的に非常に活発なアスリートと、一方で、トレーニングしていないときは体をほとんど動かさないアスリートでは、エネルギー消費量が違います。


さらに、今日の社会では環境因子が加わり、体重管理がますます難しくなっています。 美味しい食べ物が手軽に比較的安価に、かつ豊富にあふれているからです。また、生活スタイルとしても、活発に体を動かさずにじっと座っている時間が長くなり、消費カロリーが減っています。


現在、米国の成人人口の約66%が過体重~肥満で、34%は肥満です。その中で、このところ指摘されているのが、アスリートの肥満です。


米国は今、かつてないほど太りすぎのアスリートの数が増えていますが、 多くは肥満の危機に気づいていません。全国的に、高校フットボールのラインバッカー(ポジションの一種)の45%以上は、肥満と報告されています。大学レベルのスポーツでも、太り過ぎの学生の数が増えています。Borchers氏 らの調査によると、ハイレベル(division 1所属)の大学のアメフト選手、平均年齢20歳の21%が肥満(体脂肪25%以上)で、インスリン抵抗性※2を有しており、9%がメタボリックシンドローム※3でした。オレゴン州立大学のMelinda Manore教授は、アスリートに対して、脂肪を燃焼しながら筋肉を維持するには、トレーニングに加えて、高繊維、低脂肪などバランスのとれた食事が重要であることを報告しました


問題は、アスリートは既に活動的になっているので、運動をしない人たちとは対策が違ってくる点です。運動量を増やしたり、定番のトレーニングメニューを変更する選択肢が、もうないかもしれません。医療専門家は、アスリートは自分の体重目標を達成するために、医療専門家から科学的根拠に基づく効果的な栄養指導を受けるる必要がありそうです。


Melinda Manore教授は、多くのアスリートが、筋肉(除脂肪体重lean tissue)を失うことなく減量したり筋肉を増やそうとしても不健康かつ持続不可能な方法だったり、一過的な流行ダイエットや無理なカロリー制限だったりで、実現できないことも指摘しています。この間違ったダイエットは、疲労感を増やし、動けなくなるばかりか怪我の危険があります。ですから、カロリーだけ計算してもダメなのです。大切なのは、健康的なライフスタイルです。教授は、アスリートの最適な体重維持、パフォーマンス向上のために、いくつかの戦略を概説しました。


≪キーポイント≫

1.エネルギー密度の低いダイエット(Low-Energy-Dense diet)を取り入れる:

エネルギー密度とは、食べ物の重さに対するカロリー(kcal/g)を示します。低エネルギー密度の食べ物は、高いエネルギー密度の食べ物に比べて、グラム当りのカロリーが低くなります。具体的には、水分0 kcal/g、食物繊維1.5-2.5 kcal/g、タンパク質4 kcal/g、炭水化物4 kcal/g、脂質9 kcal/gで、水分や食物繊維をたくさん含んだ食品が低エネルギー密度の食べ物ということになります。例えば、野菜や果物が代表例。逆に、ドーナツ、フライドポテトなどは、高いエネルギー密度の食べ物となります。このダイエットでは果物、野菜、全粒穀物※4、赤身の肉、魚、低脂肪の乳製品を摂りますが、毎回お皿の半分が果物や野菜で満たされるようにします。。加工食品は避けます。砂糖、特にソーダやアルコールの高い飲料を避けるのはもちろん、その他の飲み物でカロリーを摂らないようにして下さい。例えば、オレンジジュースを飲むかわりに、オレンジを食べて下さい。オレンジは、多くの繊維と栄養素を含んでいます。


2.朝食を食べること:

アスリートには、運動トレーニングと食物摂取のタイミングが重要です。Astbury氏らは、朝食を食べた男性は昼食摂取量が17%減少していることを報告しています。National Weight Control Registryは、6.6 kgの減量を少なくとも1年維持した人々の80%は、朝食を食べる人であったことを報告しています。朝食を食べないと食欲が亢進し、長期的には体重増加につながる可能性があります。アスリートのために朝食は特に重要で、一晩の絶食後にグリコーゲン※5を補充し、運動のための燃料を提供します。高繊維の全粒穀物や、果物、卵白のような高品質のタンパク質、低脂肪の乳製品を豊富に取り入れた朝食をとることが大切です。


3.タンパク質を摂る:

ほとんどのアスリートは、タンパク質を多く摂取しています。 ところが多くの人は、それを1回の食事でまとめて摂取しています。しかしアスリートは一日のうちに分散して十分な高品質のタンパク質を摂取する必要があるのです。特に、運動後や朝食時に補給するようにしてください。肉類だけではなく、ナッツや豆類はタンパク質の優れた供給源です。タンパク質は筋肉の維持・増強のために重要なだけでなく、満腹感の増加やカロリー摂取量の減少とも関連しています。減量中のアスリートは、運動後に補給することが重要です。


4.高カロリー飲料の摂取量を減らす:

高カロリー飲料は、食事の摂取量を減らすわけではないのにむしろ食事に余分なエネルギーを追加してしまいます。


5.いわゆる流行ダイエットを避ける:

むやみに激しいトレーニングと厳しいカロリー制限を組み合わせると、以下の問題が起こります。

--栄養摂取量が減るとトレーニング能力が減り、パフォーマンスが低下
--疲労と筋肉の喪失で、怪我のリスクが増加
--厳しいエネルギー制約から、食行動の乱れのリスクが増加
--脱水のリスクが増加
--栄養不足・失調のリスクが増加
--エネルギー制限食により、空腹、疲労やストレスからくる、精神的苦痛が増加


このダイエットは、競技をするアスリートだけではなく、楽しみでスポーツをされている方、これからダイエットを始めようと考えていらっしゃる方、どなたにもお薦めです。試してみて下さい!最後に一言。お弁当箱はぜひ大きなものにして、その分、低エネルギー密度の食べ物をたくさん入れるようにしてみて下さいネ!

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